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考えることは同じ
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甘酒屋を出て、俺たちと似たような考えを持つ参拝客の間を通っていく。時間も時間だからか、親子連れはほとんどいなくて、いるのは仲のいい学生の集まりやカップルらしき男女ばかりだった。
「──ちょっと、アンタ本気で行く気ですか!」
「当たり前じゃん。大体あんな目立つ髪色の奴、人違いなワケないって」
「人のこと言えないですけどね。鏡見ます?」
どこかで聞いたような声がして、後ろから腕を掴まれた。
「ほらァ、やっぱりカグラくんだ」
振り返ると、屋台の灯で橙色の髪が更に色濃くなった一年さんが俺の腕を掴むのと逆の手で月詠と手を繋いで立っていた。
「……ドウモコンバンハ」
「カグラくん、カタコトはやめよう。俺だって傷つくよォ」
「神楽、気にしなくていいから」
「紫月、無視していいよ」
桜和と月詠の声が被った。
2人とも酷い! と叫ぶ一年さんをうるさいですとにべにもなくぶった斬る月詠と、無視して俺から一年さんを引き剥がす桜和。2人揃ってかなり塩対応だ。
「ところで、2人とも随分重装備ですね」
コート、マフラー、手袋はともかく、帽子を被っているし、動きづらそうなところを見るに、多分中はさらに着込んでいる。確かに今日は寒いけど、それほど厳重装備をする必要も無い気がする。
「ああ、さっき、風呂に入っちゃって」
「入った後で、神社で年越ししに行こうかって話になって。だから湯冷めして風邪ひかないようにねェ」
なるほど。そこで諦めず、厚着をしようという発想がすごい。
「っくしゅ」
「伊吹大丈夫? もう1枚着る?」
「やめてください、これ以上何か着たら身動き取れなくなる」
既にだいぶ動きづらそうなもこもこ具合の月詠が顰めっ面でそう突っぱねた。
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