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展翅(*)
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首筋に鈍い痛みが走る。脚の間に膝を差し込まれて、余計に動けなくなった。展翅版に磔にされる蝶の気分がわかる気がする。
「……はは、神楽くん、君はもう少し人を疑って、心に壁を作ることを覚えた方がいい」
顔を上げないままの和音さんの表情は見えない。
一年さんといい、この人といい、どうしてこんなに俺へちょっかいをかけたがる人が多いのだろう。疑問が浮かぶ脳内の片隅で、そう思うには少し場違いだと、やけに冷静なツッコミが入った。
「──っあ……!?」
差し込まれた膝に、ぐんっと身体を持ち上げるように揺さぶられた。掴まれた腕は、未だ動かせない。
「ゃ、め……っ」
「そんな無防備だからこそ、桜和はあんなに人間らしくなったんだろうし、その点に関しては感謝してるんだけれども」
ぐい、と少し乱暴に顎を掬われる。至近距離で目が合って、いたたまれない。だけど、目を逸らしてはいけない気がした。
「……ふぅん」
心底気に食わなさそうに、酷く冷たい目をした和音さんが唇を寄せてくる。腕を押さえる手も、顎を掴む手も、力が強くて逃げられない。
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