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安堵と自己嫌悪*
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今泣いていい人間は俺じゃない。だから今すぐ涙を止めたかった。でも、そう思えば余計に涙は次から次へと溢れる。
桜和の腕を離してはいけない気がして、零れる涙は拭うこともできずに垂れ流しのまま。ボタボタと制服のスラックスやジャケットに滲みを作る。
そんな状態でも桜和に弄られる身体は素直に反応して、だんだん限界が近づく。頭と身体がちぐはぐで、苦しい。
クチャ、と学校には不似合いな粘っぽい水音が気持ち悪くて、夜の『開発』を思い出してしまって、また涙が出る。
もう無理だ、と思った時、抱き寄せられた驚きで少し身体がこっちに帰ってきたような気がした。
「……イって、神楽」
「う、あ……あ、〜〜あああっ」
息が苦しい。ただでさえ泣いて息が乱れているのに。景色が霞むのは涙のせいだけじゃないだろう。
少し落ち着いた頃、俺を抱きしめる桜和の腕の力が強くなった。
「……ごめん、神楽」
「……?」
違うだろう。どうしてお前が謝るんだ、お前は何も悪くなくて、『危機感のない』俺を助けてくれて。
そう言いたいのに、涙が止まらなかった。
ただ周りの庇護を甘んじて受けるだけでいたくないなんて、大層なことを言っておきながら、俺は結局自分一人では何も出来ないのだ。
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