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本気で心配
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掴まれた腕が少し痛いけど、日向の真っ直ぐな瞳に何も言えなくなってしまった。
「やっぱり理由教えてくれねーの?」
「悪い……」
「誰にでも言いたくないこと、言えないことは沢山あると思う。
俺だってお前にまだ言えてないことあるし……。
それでもさ、俺がどれだけお前のこと本気で心配してるか分かってる?」
真っ直ぐこちらに向けられた瞳が、少し潤んで揺れた気がした。
そんな瞳を前に、俺はどう返事を返していいか分からなくなって、日向の言葉をおうむ返しするしかなかった。
「本気で心配されてることは分かってるよ……」
「分かってねーよ」
「分かってるって」
「影山、お前全然分かってない……。
俺がお前のこと、どれだけ……」
腕を掴んでいた手が、二の腕、首へと滑り、両手で頬を包み込んでくる。
その熱い手の感触と潤んだ瞳に、どうすることも出来なくて、ただただ目を泳がす。
「影山……ちゃんと俺を見てよ」
「ひ、なた?」
「影山」
日向が俺の名前を呼んだその時、ガラガラガラと体育館の扉が開いた。
「ッッ!!」
「ひょわっ!!」
慌てて日向が頬から手を離して、俺の傍から飛び退いた。
「お前らまだ残ってたのか? 早く帰りなさい!」
体育館の中に入ってきたのは、戸締まり担当だろか?
一人のじいさん教師が眉間にシワを寄せながら、俺
達を睨んできた。
「……ウス」
「ハイ、すみません……」
体育館から追い出されて、鍵を閉められる。
日向はあの時、何を言おうとしたんだろう?
今は無言で部室に戻り、着替えている。
き、気まずい……。
「影山、その、さっきはゴメン……
とにかく、俺は本気でお前のこと心配してるってことだけは覚えといて」
「分かった……ありがと、な」
それだけ言って後はまた無言で、着替え終わって
俺達は部室を後にした。
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