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とある週末、久しぶりに会った学生時代の友人と昔話に花を咲かせていた。
くだらない話をしたり、仕事の悩みを言い合ったり。
「風間は結婚はまだなのか?」
突然の質問に軽く噎せると、「何慌ててんだよ、怪しいな」なんて言われてしまって。
「残念ながら片想いだよ」
そう返すと、「どんな女だよ」って聞かれた。
当たり前だが、やはり片想いの相手は“女”であることが前提で、少し切ない気分になる。
すると友人は、思いもよらない悩みを打ち明けてきた。
「片想いと言えばさぁ、この間男にコクられたんだよなぁ。
勤め先の客でさぁ。
断りはしたけど、なかなか気まずくて。
“お客さま”だから蔑ろにも出来ねぇし。
確かにその辺の女より可愛いけど、男だぜ?
好きとか言われても無理だし」
心臓が鷲掴みにされたように痛んだ。
目眩がして、友人の顔がよく見えない。
あれ? 息ってどうやってするんだっけ…?
それから先のことは、よく覚えていない。
酔って気分が悪いとか誤魔化したのかな。
何とか当たり障り無い会話をした気はするが、怪しまれなかっただろうか。
その晩、僕の夢には再びミヤくんが出てきた。
先日の夢のように甘い声で、笑顔で、僕を呼んでくれた。
「風間さん」
けれど、彼の両腕には、僕とは似ても似つかない派手なギャルがそれぞれ絡み付いていて。
「何コイツ~? 気持ち悪いんだけど~!」
「ホモって初めて見た~!マジウケる~!」
そんな風に大袈裟に騒いで僕を蔑んで。
「風間さん、マジで?
男とか無理だわ~。
キモいから、二度と顔見せないで」
ミヤくんのそれまでの笑顔は一変して、まるで汚物でも見るかのような侮蔑の眼差しになり、僕はその場に崩れ落ちた。
目が覚めると、まだ深夜で。
僕はぐっしょりと汗に濡れていて。
夢の中の彼の言葉が、ぐるぐるぐるぐる頭の中を回り続ける。
もう、止めよう。
そう思うのに、好きと言う気持ちは、どうしたって消せなくて。
ボタボタと流れ落ちる涙を拭うことすら出来ずに、気付けばまた、泣き疲れて眠っていた。
いいんだ。
たとえ君が振り向いてくれなくても。
それでも、君を思えた時間は、僕にとってはかけがえのないものだったのだから。
こうして僕の片想いは、誰にも知られる事のないまま、静かに燻り続けるのだった。
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