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19 sideミヤ
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酔っ払った将吾さんを無理やりタクシーで送った翌日。
俺は朝からソワソワと将吾さんを待った。
彼が来てくれる保障なんて何処にもないのに、彼の人となりなんて全く知らないのに、それでも彼は約束を守ってくれる気がする。
開店後少ししてから、漸く店の外に将吾さんの姿を見つけて。
漸く彼の順番が来て中へ案内すると、神妙な面持ちで昨夜のタクシー代を渡された。
これ、受け取らないと困らせるよなぁ。
でも、受け取ったらもう来てくれなさそう。
そんな俺の思いなんて知るはずもない彼は、グイッと俺の方へ封筒を押し付ける。
「ちゃんと中を見てね」
念を押されて苦笑して受け取ると、どこか少し安堵の表情が垣間見られた。
少し早めに取ることが出来た休憩時間、制服のお尻のポケットにガサリと違和感を感じて、ふと手を伸ばすと、将吾さんから渡された封筒があった。
そういえば、あの後少し混雑して、ポケットに突っ込んだままだった。
ああ言うタイプは、一万円とか入れてそうでヤダなぁ。
実際は二千円程度だったのだけど。
そう思いながら封筒を確認すると、案の定中からは福沢諭吉が顔を出す。
が、底にまだ何か入っている。
お金ではなさそうだけど。
不思議に思って封筒を逆さにすると、四つ折りの紙片が出てきた。
『わざわざお礼を書いてくれるなんて、マメだな』
彼のイメージぴったりで、微笑ましくなる。
が、そこには予想外のメモが書かれていた。
――――――――――――――――――――
ミヤくんへ
昨日はありがとうございました。
迷惑かけてすみません。
迷惑ついでに、お伝えしたいことがあるので、時間をくれませんか?
何時でもいいので、バイトが終わったら○○駅構内の□□コーヒーへ来てください。
待ってます。
風間将吾
――――――――――――――――――――
将吾さんらしい、少し小さい控えめの文字。
何度も書き直したのだろうか。
重ねて書かれたであろう紙片には、ペンの跡が残っている。
突然来てくれなくなった彼、伝えたいこと、昨夜の涙。
『まさか…ね…』
そんなに身の回りにホモがゴロゴロいるはずないよな。
そう思いながらも、休憩中は全く落ち着かなくて。
シフトぴったりの時間にバイトを終えて、指定された場所へと走った。
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