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22 sideミヤ
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せっかく急いで会いに行ったのに、急かさないように気を付けて話を聞いてたら、まさかの“お願い”をされた。
「嫌いって言って」だって?
なんで、そうなるんだよ。
俺の気持ちは、完全無視なわけ!?
確かに好きかどうかはまだわかんないけど、あまりにもネガティブ過ぎる発言に、少しだけ腹が立った。
でも、それ以上に、なんだか悲しかった。
「なんで、俺がそんなお願い聞かなきゃなんないの?
意味わかんないんだけど」
彼は俺の人となりなんて知らないんだから、当たり前だけど、でも、信用してないと言われたようで悔しくて。
そんな人間だと思われていたことが、悲しくて。
ついつい冷たくキツイ口調で咎めるように言ってしまうと、将吾さんが涙を堪えてこちらを睨んでくる。
そんな顔、しないでよ。
あまりにも信用されてない言葉に、俺だって傷付いたんだから。
「確かに、将吾さんを恋愛対象として好きかって聞かれたら、今はまだイエスとは言えない。
でも、少なくとも気持ち悪いとは思わない。
また店にも来てほしいし、将吾さんが嫌でなければ、店の外でも会いたい。
こう言う返事が、一番残酷だって言うのは、わかってる…けど。
…でも。
たとえ嘘でも、俺は将吾さんを嫌いなんて、言いたくない」
きっぱりと言い切ると、将吾さんは子供みたいに泣きじゃくって。
なんだか、無性にその肩を支えてあげたくなって。
そっと隣に行くと、「また会ってもいいの?」なんて聞いてくるから、なんだか可愛くて。
ついつい俺も調子に乗ってしまう。
ああ、俺ってやっぱ最低な男だわ。
気持ちには応えないくせに、優しくするなんて。
でも、ごめんね、将吾さん。
今はまだ、この腕は緩めてやれそうにないや。
「当たり前でしょ」
そう言って将吾さんの震える肩をぎゅっと抱き締めた。
今はまだ、“好きだ”って胸を張っては言えないけれど。
それでも…。
それでも貴方が、俺を望んでくれるのならば、俺はこの肩を、抱き締めて支えたいと思うよ。
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