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26 ある男の思惑1
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出張で本社に行かねばならなくなり、久しぶりに高校時代の親友を思い出した。
学生時代はよく地元で落ち合って遊んでいたが、社会人になり連絡を取る機会もグッと減っていた。
記憶が確かなら、友人の風間将吾は本社から割りと近くに住んでいたはず。
ちょうど出張日程が金曜の夜までで、終電で帰っても直帰だから、報告は週明けの月曜日。
懐かしく思い連絡を取ると、金曜の夜は特に用事もないらしい。
トントン拍子に話は進み、金曜は二人で飲んで、風間の家に泊めてもらうこととなった。
金曜日。
酒を酌み交わしながら、近況を報告し合う。
「お前、せっかくいい会社入ったのに、いい出会いないのかよ?」
彼女もいないと言う風間に問い掛けると、真っ赤な顔で否定される。
「ないよ、僕はモテないし」
まあ、確かに。
風間はどこをとっても平均値だし、やたらとネガティブだし。
高校時代もうじうじしてて彼女にフラれたし。
でも、いいとこもあるんだがなぁ。
なんか頼りなくて、ついつい面倒見たくなるし。
変な意味じゃないが、可愛いところもある。
それはやはり友人としての話で、女としては物足りないのだろうか。
けれど、この反応は片想いの相手でもいるんだろう。
そんなことを思っていると、逆に聞き返されて。
「そっちこそ、彼女とまだ続いてるの?
もうかなり長いだろ?
結婚は?」
「あー、今年中には籍入れる予定。
式はしないけど、ちゃんと籍入れたら報告するよ」
「そっかぁ、おめでとう」
屈託なく、自分の事のように喜ばれる。
ホントに良いヤツなんだが、風間の片想い相手はそう言うところには気付いてはくれないのだろうか。
いや、こいつの事だから、気持ちをひた隠しているのかもしれない。
「ただ、今度転勤になりそうで。
あいつの仕事どうするかで、今話し合ってんだよ」
「あー、そうなんだ…。
遠いの?」
風間と俺の彼女も高校からの知り合いだから、彼女がスゲー努力して資格とって今の仕事に就いたことを知ってて。
ちょっと切なそうな顔になる。
「長崎県。
あいつはそっちで仕事探すって言ってくれてるけど、俺はまた転勤あるだろうから、そのたび転職させるのもなぁ。
いっそ俺が転職しようかとも思ってんだけど…」
久々の再開なのに、重たい話になってしまうが、風間は親身になって聞いてくれてて。
ついつい愚痴りながら飲みすぎてしまい、二人でフラフラの足取りで風間の家へ向かった。
途中、酔い醒ましも兼ねて、ひと駅手前で電車を降りて歩く。
せっかく酔いを醒ましたのだが、醒めれば醒めるでまた飲みたくなってしまい、コンビニで酒を買い込む。
「どんだけ飲むんだよ?」
「しょうがないだろ~?
今日ぐらい付き合えよ。
同棲してると酔い潰れて帰るわけにもいかねぇし、結婚したら尚更だし」
呆れ気味の風間に言い訳してると、ちょうど風間のアパートに辿り着いた。
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