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27 ある男の思惑2
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「俺はちゃんと話したんだから、お前も言えよ。
さっきの反応、好きなやついるんだろ?」
「いや、僕は…そんな…」
ビール片手に問い詰めると、風間が口ごもって。
その態度が余計に確信を持たせる。
「会社の子?
年上?年下?」
基本インドアなヤツだから、出会いなんて会社関係だろうと決め付けてそう聞く。
けれど、残念ながら俺の予想は外れたらしい。
「会社は関係ない。
年下」
短く最低限だけ答えると、風間は耳まで真っ赤にして俯く。
この赤さは、決して酒のせいではないはず。
「へぇー、何処で知り合ったんだよ」
しかし、その問いに答えはなく、風間の携帯がメールの着信を知らせた。
今どきこの年代でガラケーのヤツ、まだいるんだ。
まぁ、俺の回りにも少数派ながら根強いガラケー派がいるが、こいつの場合馴染んだ持ち物をとことん使う性格のせいだろうな。
そんなとこも良いんだが…と思いながら、メールを見詰める風間に視線を送る。
そこには、見たこともないほどにでれでれとした風間がいた。
どう考えても、片想いの相手って、その子だろ!!
「彼女からか?」
からかうように言うと、風間がブンブンと首を振る。
「違うよ、友達!男!」
「誤魔化すなよ~!女だろ?」
「ホントにただの男友達だってば!」
「んじゃ、電話してみろよ」
「もー、わかったよ!
しょうがないなぁ、酔っぱらいは」
ぶつぶつと文句を言いつつも、押しに弱い風間は電話をかける。
いや、きっと背中を押されたかったんだろう。
その顔はホントだらしなくニヤ付いていた。
ローテーブルをグルリと回り、風間に少しだけ近づき様子を伺う。
風間がぐいっと俺を押しやるとともに、コール音が途切れた。
『………?』
「本宮くん? どうかした?」
相手の話までは聞こえないが、微かに漏れ聞こえる声は確かに男で。
風間も確かに“くん”と呼んだ。
自分から電話させといてなんだが、俺をそっちのけで甘えるようにふふふっと笑われると、なんだか悔しい。
独占欲や嫉妬心、そんな類いの感情が湧き上がる。
まあ、酔っぱらいは往々にして我が儘なものだ。
「おーい、将吾ー!
いつまで電話してんだよー?
久々の親友との再開だぞー」
恐らく風間の片想いの相手であろう男の反応がどんなものか気になり、風間の肩を組んで名前なんて呼んでみる。
因みに、“将吾”なんて初めて呼んだ。
「ちょっ…、うるさいよ。
重たいって…、どけよ!」
風間のこの慌てよう、やはりこの男に何か勘違いされたくないのか。
「将吾~!薄情だぞー!」
ふざけるのを止めない俺に、風間は呆れていて。
「わかったよ、しょうがないなー。
ごめんね、本宮くん。
友達、酔っぱらっちゃってて。
また連絡するから」
『………………………………………………』
「うん、ありがとう。
お休みなさい」
俺の腕に捕らえられながら、困り果てた様子で電話を切った。
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