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友人との電話を終え暫くすると、本宮くんから着信があった。
「…もしもし?」
なんだか今更ながらに照れ臭く、携帯片手にもじもじしてしまう。
『将吾さん?
今、何してました?』
本宮くんのことを考えてたなんて、言えない。
何か、特に用もなく電話をするなんて、恋人同士のようだ。
あ、いや、恋人…なんだった。
自分の心の中の声に、自分で照れてしまって。
『しょーうーごーさーん?
聞いてますかー?』
耳元で聞こえる声に、わたわたと慌ててしまう。
「あ、うん、聞いてる。
えっと、のんびり、してた」
『将吾さん、いっつも慌てすぎですよ。
落ち着いて?』
クスクスと笑われて、もう、穴があったら入りたい。
「ぅー、ごめん…。
だって、何か恥ずかしいんだもん」
『“だもん”って、可愛すぎ!』
上機嫌な本宮くんが、また可愛いとか言い出す。
「可愛くないよ、本宮くんって趣味が変」
『だって、可愛いものは可愛いんだから、仕方ないでしょう?
あ、べつに女みたいとかは思ってないですよ?
ただ、将吾さんが可愛いだけで』
………。
本宮くんって、ホントに変だ。
恥じらいとか、無いんだろうか。
明け透けな物言いも、本宮くんが言うと何故かかっこいいだけで。
恥ずかしさを隠すように、話題を探す。
そういえば…。
「さっき言ってた“あの人”って、もしかして、前にカフェに連れてった友達のこと?」
ふと思い出して問い掛けると、図星だったようだ。
『せっかくいい気分だったのに、あんな男の話、やめてください。
ホントは、連絡も取らないでほしいくらいなんだから』
拗ねる本宮くんの方こそ、可愛い。
「ごめんね、何か言われたんだよね?
何言ったかまでは聞いてないけど、たぶん全部嘘だから」
『はぁ!?全部ウソ?』
急な大声で、本宮くんの驚愕っぷりが電話越しに伝わる。
「うん。
一緒に飲んだ日にね、友達の結婚報告とか長崎県への転勤話とか聞いてて。
そしたら、“お前も言えよ”とか言われて、本宮くんのこと根掘り葉掘り聞かれて。
そのあと、本宮くんを待ち伏せてたなんて知らなくて。
さっき電話したら、うだうだしてるから本宮くんに発破かけたとか聞かされて。
ホント、ごめんね」
電話の向こうから、『は?結婚?』『長崎県?』とか、いちいち驚く声が聞こえる。
『あー、なんか、してヤラレた』
「ごめんね、ヤな思いさせて。
でも、僕は、本宮くんに好きって言って貰って、嬉しかったよ」
照れ臭いけれど、これはちゃんと伝えたくて、思いきって口に出す。
『将吾さんが謝ることじゃないですよ。
煮え切らなかった俺が悪いんだから。
確かに、あの人が焦らせてくれなかったら、いつまでも中途半端で将吾さんに失礼なことしてただろうし。
ホントはイヤだけど、“ありがとうございました”って、伝えておいてください。
あ、あと、“将吾さんは俺のものになりました”って』
“俺のもの”って…、ホント恥ずかしすぎる。
顔から湯気が出るって、こう言うことか。
でも、そんなところも含めて、ホント、好きだなぁ。
「本宮くん、ありがとう。
大好きだよ」
自分で言って、更に恥ずかしくなる。
言わなければ良かったと思うが、直後に本宮くんの声が聞こえてきた。
『俺も大好きですよ。
将吾さん、ありがとう』
携帯を当てた耳から蕩けてしまいそうな声で愛を囁かれて。
ずっとずっと君の背中を見詰めていたけれど、そんな君が振り向いてくれたことがただただ嬉しくて。
折角、君が振り向いてくれたのだから…。
二人寄り添って、前に進んで行きたいと思う。
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