アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
6
-
終業の、ベルが鳴る。
さて、そろそろ本宮くんと向き合わなければ。
桐島さんも言っていたし、後悔はしたくないし。
まだまだ社員の残る中、すみませんと謝りつつ社屋を後にする。
携帯を確認すると、本宮くんからメールが来ていた。
―――――――――――――――
from:本宮柳
title:無題
本文:昨日はすみませんでした。風邪うつりませんでしたか?
だいぶ具合よくなったんで、ちょっと話したいんですが、もし時間あったら仕事帰りに寄ってもらえませんか?
バイトは今日も休み貰ってるので、何時でも大丈夫です。
―――――――――――――――
やっぱり、昨日のこと、気になるよね。
泣いちゃったし、“勘違い”のことも説明してないし。
―――――――――――――――
to:本宮柳
title:無題
本文:うつってないよ、大丈夫。
ちょうど今から行こうと思ってた。
何か要るものある?
―――――――――――――――
気付いてすぐに返信すると、本宮くんからの返信もすぐに来た。
―――――――――――――――
from:本宮柳
title:無題
本文:将吾さんがいれば、何もいらないですよ。
待ってますね。
―――――――――――――――
この優しさは、なんなのだろう。
僕に愛想を尽かしたんじゃ、ないの?
側に居るのはいいけど、身体の関係は求めてない?
本宮くんの本心がイマイチ分からず、困惑する。
何もいらないとは言われたけれど、何となく手ぶらで行くのもどうかと思い、コンビニの袋片手に本宮くんのアパートへと向かった。
アパートの玄関前で、暫し考え込む。
この場合、やはりインターホンを押すべきだろうか。
それとも、具合は良くなったとはいえ、寝ているかもしれないし、合鍵を使うべきか。
いや、まずは電話してみる?
凄く簡単な事なのにこんなに悩むのは、手の中にある合鍵をくれた相手が桐島さんだから?
違う。
僕の気持ちがグラグラと揺らいで、いつも自信が持てないせいだ。
じわりじわりと不安が大きくなって、涙が滲む。
なんで僕はいつもいつも、自信が持てないんだろう。
ホント、嫌になる。
こんなんじゃダメだと自分に言い聞かせていると、ふいに目の前の扉がガチャリと開いた。
「将吾さん、お仕事お疲れ様でした。
取り敢えず中に入ってください」
きっと、メールしてからだいぶ経つし、玄関先でぐだぐだ悩んでたから、物音や気配で気付いたのかもしれない。
昨日よりはだいぶ具合のよさそうな本宮くんが、ふわっと微笑んで迎え入れてくれた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
63 / 131