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翌朝目覚めると、僕は本宮くんの腕の中にいて、目の前には幸せそうな本宮くんの微笑みがある。
「将吾さん、おはようございます」
「ぁ…おはよ…」
本宮くんの甘い声に昨夜の恥態が一瞬にして甦る。
彼の顔を正視することなど出来る筈もなく、咄嗟に胸元に顔を埋めて身を縮めた。
「ぅ゙…!」
途端、下半身に鈍痛が走る。
昨日本宮くんを受け入れた場所が、ジンジンと痛んだ。
無理な体勢を取っていた腰も痛いし、全身もかなりの怠さが残っている。
「ごめんなさい、昨日無理させちゃって」
小さく呻いた僕の上から、本宮くんの申し訳なさそうな声が聞こえてくる。
確かに身体は辛いけれど、痛みも苦しみも乗り越えられるくらいに、本宮くんと一つになれたことの方が嬉しかった。
「大丈夫…」
恥ずかしくて“嬉しい”とまでは言えないけれど、後悔だけはしてほしくなくて小さく首を振る。
「将吾さん?顔見せて?」
甘えるように言われても、流石に今日ばかりは応えられない。
「ヤダ!」
顎を取られて上を向かされそうになるが、必死に抵抗した。
「将吾さん、やっぱり身体辛い?
ごめんね、無理させて…」
僕の態度に何か勘違いしてしまったらしい本宮くんが、切な気にそう呟く。
こんな態度では、また本宮くんに我慢を強いてしまう。
せっかく昨日は繋がれたのに、ここでまたすれ違うなんてイヤで、小さく首を振った。
「違う……恥ずかしい…だけ…」
消え入りそうな声だったが、辛うじて本宮くんの耳には届いたようだ。
「ん。分かりました。
じゃあ、もう少しだけこうしてましょ?」
穏やかに言って、本宮くんが僕の頭を胸元に抱き込み、髪を撫でてくれる。
逆の手が、ゆったりと背中をさする。
あ、これ、好き。
幸せかも。
そう思うと同時に、少しだけ複雑な気持ちになる。
「慣れてるね…」
思わず言葉がポロリと出てしまい、慌てて口をつぐむ。
小さな声だったが、聞こえてしまっただろうか。
せっかくの幸せな朝なのに、なんで僕はこうなんだろう。
ビクビクしながら本宮くんの反応を待つ。
はぁーっと頭上から聞こえた溜め息に、ギュッと身を縮めた。
「慣れてるわけないでしょ?」
呆れたような、困惑したような、少し怒気を含んだような声音に、涙が滲む。
「ごめん…」
僕の口から絞り出したのは、情けない涙声だった。
今更謝ったって遅いだろうが、それしか言葉が出ない。
どうしよう、怒らせただろうか。
僕の背中に回されていた手が、離れてしまう。
あ…、嫌われた…?
離れていく温もりに、喪失感を覚える。
背中が嫌な汗でじわりと濡れて、さっきまでの温かさが嘘のように冷たい。
幸せが、遠ざかる。
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