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けれど、離れて行った筈の手は、僕の頬に戻ってきて。
「いひゃい…放ひて…」
ムニっと頬をつねった。
あれ?何だかこれ、覚えがある。
涙目で本宮くんを見上げると、傷付いた顔がそこにはあった。
あ、また僕は、間違ってしまったのだ。
「確かに、初めてじゃないし、正直言うと将吾さんには知られたくないような関係も持ったことはありますよ。
でも、こんな風にどうしていいか分かんなくなるほど好きになったのも、セックスひとつでここまで緊張したのも、側に居るだけで幸せになるくらい惚れたのも、将吾さんだけです。
昨日は途中から夢中になっちゃって、将吾さんに無理させて、こんなダサいの初めてですよ。
でも、カッコ悪い俺も含めて、将吾さんには受け入れてほしい。
さっきのも、慣れてたんじゃなくて、将吾さんだから顔が見たくなったの。
貴方、俺にどれだけ惚れられてるか、分かってないでしょ?」
訴えるように語る、本宮くん。
その瞳の真剣さに、また、本宮くんに惹かれていく。
こんなに真剣に僕を思ってくれるのは、きっとこの先も彼一人だ。
「ごめん…」
本宮くんを傷付けてしまったことが、とにかく申し訳なかった。
さっきの言葉は、ネガティブとかで片付くものじゃない。
無神経だった。
どうしたら彼に、お詫びできるだろう。
でも、本宮くんはやっぱり本宮くんで。
「悪いと思ってるなら、俺に愛されてることちゃんと自覚してくださいね。
将吾さんからキスしてくれたら許してあげます」
そう言ってフフっと意地悪く微笑む。
「っ…!」
「あ、この前みたいに掠めるだけとかダメですよ?
ちゃんと唇に。
そーだなー、最低10秒」
言葉に詰まる僕に、本宮くんが先手を打つように付け足してきて。
「ひどい…」
涙目で訴えても、本宮くんは譲らない。
「えー?俺ショックだったんだけどなー。
将吾さんは俺のこと遊び人だと思ってたのかー」
遊び人なんて、そこまで言ってないのに。
わざとらしく拗ねてみせる本宮くんに、結局僕は敵わなくて。
「もー、すればいいんでしょ!」
「だーめ!」
せっかく決意したのに、今度は制止されて。
何がしたいのか分からずキツく睨む。
「将吾さん、ちゃんと俺のこと見て?
将吾さんのこと抱き締めてるの、俺ですよ?
見えてます?
そんなイヤそうにキスされたら俺だって嫌です」
急に真面目な顔で言うから、あ、また僕は間違ってたんだと気付く。
「うん、ごめんね。
ちゃんと見てるよ?
本宮くんだから、昨日も…頑張ったんだよ?」
耳まで赤くなるのを自覚しながら、それでも目は反らさない。
俯きたくなる自分を鼓舞して、辛うじて目線だけは上げる。
「うん、ありがとう。
嬉しかったです」
その優しい微笑みが、二の足を踏む僕の背中を押してくれた。
「ん」
頷いてそっと唇を合わせると、今度は拒まれなかった。
また本宮くんの腕に抱き込まれる。
僕も、しっかりと彼の背に手を回して、本宮くんを引き寄せる。
ちゃんと、キスと呼べるような口付け。
しっとりと重ねた唇を、本宮くんの舌が舐める。
促されるままにそっと隙間を開けると、器用な舌が僕の口内に入ってきた。
「んっ…ぁ…」
漏れた吐息に満足したのか、本宮くんの顔がそっと離れて。
満面の笑みがそこにはあった。
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