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デート 1 side 本宮柳
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second season直後の小ネタです。
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紆余曲折を経て、無事に将吾さんとの交際が始まった。
相変わらずネガティブな所はあるが、それも将吾さんの魅力の一つと思うことにしよう。
俺からのスキンシップには過剰に恥ずかしがるけれど、それはそれで可愛いから良しとする。
話は変わるが、今日は初めての将吾さんとのデートだ。
付き合う前から何度も会っていたけれど、やはり恋人という関係になって改めてデートするとなると、流石に俺だって些か緊張はする。
今まではカフェと家庭教のバイトの合間に会うばかりだったので、当たり障りない大人しめの服を着ていっていた。
しかし今日は祝日で、バイトも入っていなかったので、午前中から待ち合わせしている。
少しだけ遠出して、二人でランチして、将吾さんが最近水族館とか行ってないって言ってたから、郊外型の大きめな水族館に行く予定。
あとは、その時の雰囲気に合わせて…と思っているが、さて何を着ていこうか。
朝からベッドの上に服を広げて、あーでもないこーでもないと考える。
将吾さんの俺のイメージは、きっと家庭教に行く前の服だろうから、爽やかな方が好みだろうか。
それとも、休みの日くらいは格好つけた方がいいのか。
今までだって、女の子となら何度もデートしてきたが、その相手は同年代ばかりで。
そもそも、少し格好つけてはいたが、相手の好みの服など考えもなかった。
が、将吾さんは社会人だし、カフェに来るときの私服も大人しめだから、あんまりチャラチャラしたのはどうなのだろう。
ぐだぐだと考えていたら、あっという間に待ち合わせの時間が迫っていた。
「ヤバい、時間ねーや。
あー、もー…、これでいいか…」
結局少しだけ格好つけたけど、細身のジーンズにちょっとだけゴシックテイストのカットソーを合わせるという無難な格好に落ち着いた。
洗面台の鏡に向かってワックスでテキトーに髪をいじってバタバタと玄関に向かうと、キッチンからオヤジが顔を出してくる。
「珍しいな、お前がそんなに服に悩んでんの」
突然の言葉に、少し面食らう。
車貸してとは頼んでたが、そんなのしょっちゅうだから、それで気付いた訳じゃないだろう。
「はぁ?何で部屋の中のことまで知ってんだよ」
訝しく思い睨むと、いつものヘラヘラした口調で返された。
「知ってるわけないだろ、口から出任せだ。
そうか、何を着てくか悩むような相手に会いに行くのか?」
あー、ムカつく。
久弥もこれのどこがいいんだか。
「オヤジこそ、久弥にはいつ会いに行くんだよ?」
反撃にそんな事を言ってみると、やはり久弥の名前には弱いらしい。
「あー…」
嬉しいんだか、困ってるんだか、悲しんでるんだか、何とも複雑な表情で言い淀む。
久弥は今週末にケリ付けるって言ってたから、きっともう約束は取り付けてあるんだろう。
久弥からの誘いは嬉しいが、最後通告だったらどうしようかと怯えてるってところか。
久弥の気持ちは聞いてるが、勿論それを伝えるのは俺の役目じゃない。
あまりにも分かりやすすぎるその様子に思わず笑ってしまいながらも、今の俺の最優先事項は将吾さんだ。
「ま、せいぜい頑張れよ。
じゃ、行ってきまーす」
オヤジを真似してニヤリと言い放ち、玄関を閉める。
「柳、お前何か知ってるだろ!?」
閉まるドアから漏れた言葉は無視して、将吾さんとの待ち合わせに急いだ。
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