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デート 2 side 本宮柳
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予定通り早めに待ち合わせ場所に着くと、すぐに将吾さんが駆け寄ってきた。
車だから迎えに行こうかとも思ったのだが、やっぱり“待ち合わせ”がしたくて、わざわざ将吾さんの最寄り駅の近くに来てもらったのだ。
「本宮くん、ごめん、待たせちゃった?」
きっと俺を見つけて慌てたんだろう、少し息が乱れている。
ちょっと髪も乱れてて、それがまた可愛い。
「待ってないですよ。
まだまだ待ち合わせまで時間あるんだから、慌てなくていいのに」
手櫛で将吾さんの髪を整えながら、そう伝える。
自然と頬が緩むのが、自分でも分かる。
「ふぇ…!」
たぶん、俺が髪を触ったのが恥ずかしかったんだろう。
ちょっと挙動不審でさえある動きが、やっぱりチマチマしてて可愛い。
将吾さんは特別小柄な訳じゃないんだけど、俺の回りにはデカイ奴が多いから、円らな瞳で見上げられると、なんかハムスターに見上げられてる気分だ。
「しょーうーごーさんっ」
何となく触りたくなって頬をむにゅっとつつくと、将吾さんが小さく膨れる。
「ちょっ…、やめてよ。
本宮くんって僕のこと年上だと思ってないでしょ?」
「そんなこと無いですよ。
可愛いなーとは思ってますけど」
「かわっっ……」
今度は一転、赤面して俯く将吾さん。
最初に意識の中に入ってきた頃は、無愛想な人だと思ってた。
小さな表情の変化に気付けるようになった頃は、もっとクールな感じの人かと思ってた。
けど、言葉を交わすようになって、こんなにも表情豊かな人だと知ることが出来た。
今日もさっそく、喜怒哀楽がコロコロ変わって、なんか楽しい。
けれど、せっかくの初デートでつむじばかり見ててもつまらない。
「将吾さん、取り敢えず移動しましょう?
せっかくのデートなんだから、笑って?
顔見せてください」
そう言うと、相変わらず真っ赤なままの顔を、照れを堪えながら見せてくれた。
「…ん…」
恥ずかしがってはいるけど、将吾さんも楽しみにしててくれたってことかな。
ちらりと服装を確認すると、地味は地味なんだけれど、将吾さんなりに頑張ってくれてるっぽくて嬉しい。
たぶん、俺に告白してくれる少し前からかな。
パッと見はそんなに変わらないんだけど、カフェに来るときとか、いつの間にかちょっとお洒落してくれるようになっていた。
今日も、チノパンもシャツも薄手のカーデも、見たことないヤツだ。
わざわざ俺に会うために買ったのかもなんて都合よく解釈する。
心の中で思うくらいは自由だろう。
髪も頑張ってセットしたんだろうけど、後ろがちょっとだけ跳ねてて、それもまた無防備で可愛い。
ただ、やっぱり相変わらず色味は地味。
少しくらい明るめの色をいれてもいいと思うんだけど。
きっと“僕には似合わない”とか言うんだろうな。
水族館の後、将吾さんが嫌がらなかったら、ちょっと買い物でも誘ってみよう。
将吾さんの反応を予想して、笑みが漏れるのを隠すのに、一苦労した。
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