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デート 8
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そのあと、本宮くんにはカットソーをプレゼントした。
とは言っても、僕には彼の服を選ぶなんてとても出来なくて、本宮くんが選んだ3着の中から1着を決めただけだけど。
シンプルなVネックで、重ね着とか色々合わせやすそうって本宮くんが言ってたから、見てみたいなって思って。
改めて考えると、殆ど本宮くんが決めたようなものかも。
それでも、本宮くんははにかんだ笑みで大切そうにそれを抱えてたから、なんだか自分が抱き締められているようで、気持ちが擽ったかった。
「今日はありがとうございました。
また連絡しますね」
「こっちこそ、アパートまで送ってもらっちゃって、ありがとう。
また、ね…?」
アパート前に停車したまま、何だか離れがたくて口ごもる。
でも、流石に初めてのデートで家に誘うのも気が引けて。
仕方なくドアを開こうと手をかけると、本宮くんの手がそっと僕の頬に伸びる。
ドキッとして横を向くと、そこには、本宮くんの整った顔が、アップであって。
ゆっくり近付いてきた唇に、僕のそれは塞がれた。
しっとりと、重なる唇。
心臓が、ドクンと大きく跳ねる。
呼吸の仕方が、分からなくなって、息苦しい。
少しだけ怖くて、本宮くんの袖をギュッと握ると、最後に本宮くんの舌がペロッと僕の唇を舐めて。
触れ合うときと同じくらいゆっくり、優しく、離れていった。
ついさっきまでちょっと怖いかもなんて思ってたのに、実際に離れてしまうと寂しい気がするのだから、僕は結構我が儘なのかもしれない。
「じゃあ、またね。
気を付けて帰ってね」
名残惜しさを感じつつも、ゆっくりとドアを開ける。
「はい。
じゃあ、また」
本宮くんも、少し残念そうに見えるのは、僕の願望だろうか。
「ただいまー」
誰もいない部屋にこだます自分の声が、いつもと違ってワントーン明るいのが分かる。
久しぶりに遠出したからちょっと疲れて、ベッドにゴロンと寝転がる。
夕飯の前に一眠りしようと目を閉じるが、身体は疲れているのに眼が冴えていて眠れない。
本宮くんから貰ったパーカーを広げて、鏡の前で合わせてみる。
やっぱり、地味な僕には似合わない気がするけれど、今度会うときは、思いきって着ていってみよう。
きっと、喜んでくれるはず。
本宮くんも、あのカットソーを着てきてくれるだろうか。
次のデートを想像してにやける顔が鏡に写ってて、ちょっと気持ち悪いけれど、にやけを止める術がないのだから仕方ない。
ふふふっと頬を緩めながら、パーカーを抱き締めた。
今日一日で、色んな本宮くんを見た。
無邪気な顔、紳士的な顔、意地悪な顔、男の顔。
そのどれもが僕を夢中にさせる。
きっと、今日垣間見たのは彼のホンの一部で、まだまだ僕の知らない本宮くんがいるのだろう。
これからも、二人で時間を重ねて、もっともっと彼を知りたい。
彼にも、僕を知ってもらいたい。
何とも言えない照れ臭さを感じながら、今までにない喜びを噛み締めた。
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