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俺の部屋
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「ただいまー」
「お邪魔しまーす」
俺たちはそう言って、スーパーのビニール袋を床にゴトンと置いた。
「重かったなー。透大丈夫か?」
笑いながらセツが靴を脱いでいる。
「大丈夫。ただ、一人暮らしの時は大体カップラーメンとかで済ませてたからこんなに野菜とかたくさん買ったの久しぶりかもしれない。」
俺は一度置いた荷物を冷蔵庫へ運ぶ。セツも一緒に運んでくれる。
「透、大分不健康な食生活送ってんだな。」
「まあ、料理が得意ではないからね。」
あははと笑うと、君は若干哀れんだ目で俺を見ている。
いや、そんな顔されても。
「それにしても、今日本当に泊まっていいの?」
冷蔵庫にお茶を詰めている君がそう言った。
「いいよ。今日は二人で明日の再試に向けて徹夜で勉強しよう。」
そう、河崎の家を出た俺たちはまず、腹ごしらえのためにスーパーで食材を買いに行た。その際に、俺の家で徹夜で勉強しようぜということになったのだ。これで今日教えてもらったことも忘れずにいられる気がした。そしてなにより、君と一緒にいられる時間が増える事が素直に嬉しく感じる。
嬉しくて、鼻歌を歌っていると君が「それ一年生になったら~♪ってやつだよな?」と笑う。
「うん。」
俺は小学生の頃から、たくさんの友達を作っておにぎりを食べあえるって信じきっていた。今思うとバカだなとか思うけれど。
一通り荷物を整理し始めると、君が腕まくりをした。
「さてと、作ろうか。透。」
「おう。……って、何をしたらいい?」
ガクッとなる君。
いや、俺って料理しないし。料理の手順とかそんなのも分からないんだよ。
心の中で言い訳をしていると、セツからピーラーを渡された。
「じゃ、透はこれで人参とジャガイモの皮を剥いてくれる?」
今日のお昼ご飯は野菜スープと鶏肉のトマトソース煮込みらしい。余分に作っておいて、夜にこれらをカレーにすると言っていた。なんだか、主婦みたいだな。
くすくす一人で笑っていると、眉間に皺を寄せられる。
「ごめん、ごめん。セツがなんかお母さんみたいだなって思って。」
「ひでーな。俺は透の恋人だ。」
鶏肉の下ごしらえをしながらさり気なく君はそう言った。俺は君から恋人と言われて照れてしまう。同時に聞こえる笑い声。
「お返し。」
そう言った君は、してやったり顔。
「はいはい。」
一人顔照れている自分が恥ずかしいのと、ちょっと悔しいのとで口を尖らせる。
「拗ねないでよ。」
クスクスとした笑い声はやまない。
「拗ねてない。」
俺は皮むきに真剣になるふりをして、熱く火照る頬を見られないように隠すのだった。
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