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料理
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コトンと置かれる料理達。俺はゴクリとつばを飲んだ。
「そんなにお腹すいてたの?」
笑っている君。
「うん。」
まさか、こんなに美味しそうなご飯が家で食べられるなんて思ってもいなかったことである。だから、余計に早く食べたくなる。俺は急いで冷蔵庫に入れていたお茶をコップに注ぐ。
「おいおい、そんなに急いで注いでいるとこぼすぞ?」
心配をしてくれる君をよそに笑ってしまう。
「分かったよ、お母さん。」
「ひでーな、まだそのネタ引っ張ってたんだ。」
やれやれという顔をしながらも、笑う君。俺は君に冷えたお茶が入ったコップを渡す。
「ありがとう。」
目の前には、優しく目を細める君と、君の作った料理がある。いただきますをしながら、幸せだなと感じる。
「透、美味しい?」
不安気に訊ねる君。
「うん。」
一度に沢山頬張りながらそう返した俺を見て、ホッとしている。
「透、リスみたい。」
「ん?」
俺を見て微笑んでいる君。
ごくり。
「多分さ、セツが作ってくれたご飯だからより美味しいんだと思う。」
ご飯を飲み込み終えてそう告げれば、君は目を大きく見開いた。
あれ?俺は今当然のことを言ったよな?
ご飯に手を付けずに固まった君をお構いなしに俺は野菜スープに手を伸ばしながら言う。
「こんなに美味しいご飯が食べられるならさ」
ああ、野菜スープも美味しい。
「ずっとセツに俺のご飯作って欲しいくらいだよ。」
ぷっ
あ、笑った。
「俺は透のオカンじゃねーぞ。」
目の前で、野菜スープの具が勢いよく掻き込まれる。
そんなに急いで食べなくても、残りはまだ沢山あるのに。
家で食べる、君との微笑ましい食卓。
何年ぶりにこんな楽しい食事をしただろうか。
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