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うたた寝
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「透。」
俺を呼ぶ君の声。
「透、風邪ひくよ。」
「え……。」
いつの間にか、俺はうたた寝をしてしまっていたらしい。心配そうに俺を見てくる。急いで枕にしていた教科書を見つめる。
「透、どんな夢見てた?」
しばらくして、君がポツリとこぼす。
「え? 俺、夢見てた?」
俺がそういえば、可笑しそうに笑う君。
「それは透じゃないと分からないよ。ただ、幸せそうな顔してたから。」
「そう、なんだ。」
「うん。」
キラキラと光のある目が、俺を見ている。
「多分、セツと一緒にいる夢でも見たんだと思う。」
夢を見たことさえ覚えていなかったが、なんとなくそう思った。照れて、でも君がどんな顔をしているのか気になって、チラリと君の方へ視線をあげる。そこには、目を細めて笑う君が映る。
「嬉しそうだね。」
「うん。透を幸な顔にさせる夢に、俺が出ていたのならとても嬉しい。」
いつの間にか、日が暮れて。
開け放たれた窓からは、7月後半にしては涼しげな風が入る。
体が冷えるどころか、ぽかぽかしている。
「さてと、透。」
セツが正座になったので、俺も正座に座りなおす。
「勉強はじめるぞ。」
「うん。」
気合を入れ直して俺たちは歴史の勉強を再度し始めた。
君がいれば、なんだって楽しい。
今までには感じたことのなかった感情が、心を満たしていく。
今までには、感じたことのない――
”ごめん。遊びだと思ってた”
”体だけの関係でしょ? まさか、男同士で本気になれるわけないじゃん”
”透くん、可愛いね”
散々弄んで、捨てられて。
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