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汚れ
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俺は、君と一緒にいていいのだろうか?
一生懸命に教科書にかじりついている君を一目見る。君はとても爽やかでかっこよくて、眩しい存在。俺は、かっこよくもなくて、暗い。綺麗でもなんでもない自分。
セツと一緒にいれば、幸せに感じる。だけれどもその分強まる劣等感。
怖い。
俺は元々女の子が好きだった。セツもきっとそう。
でも、セツとは違って同性に恋したのはこれが初めてではない。
――小学生一年生のころ。
「君、一人?」
下校中、シャイで中々誰とも話せないでいた俺には一緒に帰る友達もおらず、一人で帰っていた。そんな時に、中学生のお兄さんから声をかけられたのだ。声をかけてくれたことが嬉しくて、俺はその人に嬉しそうに「うん。」といったのを覚えている。これが、俺の人生の歯車を大きく狂わす出来事になる。
「暇ならさ、お兄さんと一緒に遊んでくれない?」
その人の名前は覚えていない。もっと言うなら、顔さえも覚えていない。
最初は、公園で一緒にブランコにのって遊んだり、砂に絵を描き合っこしたりと、ふつうのことをして遊んでいた。しかし、途中から可笑しかった。
「透くんさ、今日はお兄さんのおうちで遊ぼうよ。」
「え?」
「すぐ近くなんだ。」
純粋な俺は、人を疑うことを知らなかった。そしてそれが、いつも一緒に遊んでくれていたお兄さんだから尚更だ。
お兄さんの家は、ひどく冷たかった印象がある。広くて、誰もいない、そんな冷たさのある家。
「今日、お母さんとお父さんがいないんだ。だからたくさん遊べるよ。」
にっこりと微笑みながら、部屋に招き入れるその人。俺はそのまま後ろをついていった。
その人の部屋も、ひどく殺風景だった。
「透くんはさ、セックスって知ってる?」
部屋の戸を占めたその人は言うのだった。
「セックス?」
「うん。お互いに気持ちよくなれる遊びだよ。」
「そうなの?」
「やってみる?」
「うん。」
「でもね、これは誰かに言っちゃダメなんだ。」
「どうして?」
「それはね……誰かに言っちゃったら、舌を切られちゃうんだ。」
今となっては、それが真っ赤な嘘であることはわかる。だが、小学生一年生の俺にはそんな嘘、分かりっこない。
「わかった。誰にも言わない。」
「そうか、良かった。じゃ、まずは洋服を全部脱ごうか?」
「どうして?」
「裸じゃないと、遊べないんだよ?」
「わかった!」
制服のお兄さんも、洋服を脱いだ。下着まで脱ぎ出す。
「じゃあ、透くん。」
ポサリとベッドに腰掛けるその人。
「透くん、チンコ舐めて。」
「なんで?」
「遊びだから。」
よくわからなかったが、取り敢えず、小さい頃の好奇心は恐ろしい。俺はそのままその人のそれを舌でちょんと舐めた。
「うげっ、まずい。しょっぱい。」
気づいた時には、遅かった。頭をぐいと押されて、彼の性器が俺の口の中に押し込められる。髪の毛を掴まれながら、その手に誘導される。
「うあぁ……いいよ、透くん…」
犯される口内。いやらしい音を立てるそこ。
まずくて、くさくて、妙に温かいそれが口の中にあることが嫌で嫌でたまらず、目からは涙が流れていた。それでも、抵抗はできなくて、従うしかなかった。
次第に早まる動き。俺がではなく、彼の腰が勝手に出し入れを激しく繰り返す様になっていた。俺は、彼を見上げていた。欲情していたその顔が、幼い俺には喜んでいる姿に見えた。単純な俺は、ちょっと嬉しくなったんだ。今まで誰かの為に何かをして、喜ばれたことがなかったから。
それからのことはあまり覚えていない。だが、その後も彼の家に連れてかれて徐々にエスカレートしていったのは覚えている。
それ以降、女の子よりも男の子の体を見るほうが好きになった。好きになる人も全部男。
「透?」
ふと横から不安そうな声が聞こえた。はっとなる。
「どうしたの? 疲れたの?」
優しい目、綺麗な目。
君は、汚れを知らない。
君は、汚れてばかりの俺の過去を……知らないのだ。
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