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考え
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「透?」
明らかにおかしい。さっきまで美味しそうにご飯をほおばる姿を見ていたはずだったのに。今の透は苦しそうだ。じっとりと汗もかいている。ご飯を食べ終えてから、何をした?
俺の働かない頭をフル回転させて考えてみた。だが、勉強以外にはなにもしていなくて、理由がわからなかった。声をかけても、俺を見ずにシャープペンシルを握ったまま固まって動かない。
「透!」
もう一度。
「透!!」
「あっ……」
少し大きな声で君の名を呼べば、掠れた声が返ってきた。俺は焦って、君の顔を覗く。
「透……」
「あ……せ、つ。」
息苦しそう。
心配になって、安心させようと俺の手を透の頬にそっと添えようとする。
パシッ
「えっ?」
「あ……」
手は払い拒まれ、正直俺は驚いて固まった。
拒絶、された?
「あ……ごめん。」
君はよそを向いてうつむく。
「どうして、謝るの?」
「ごめん。」
「理由、教えて?」
「ごめん。」
問いかければ問いかけるほど、辛そうになる君。
「透?」
「ごめん! 俺、風呂入ってくるから!」
勢いよく立ち上がり、着替えを準備し始める君。
青い顔をしている。
どうしたんだろうか。突然の出来事すぎて、どうしたらいいのか分からない。第一、君が何に怯えているのか教えてくれないと、俺もどうやって君を守ってやればいいのか分からない。
じっと固まったまま動けないでいると、とうとう君は脱衣所の中に入っていってしまった。
鳴り響く、シャワーの音。
君は何を考えている?
何に怯えている?
分からない。
教科書の同じページをずっと開いたまま君のことを考える。
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