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教えて
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「透!」
風呂から出てきた透に急いで声をかけると、若干引き攣りながら微笑まれる。
「セツも、風呂入ってきなよ。汗が流れて気持いよ。」
「透?」
「どうしたの? そんな顔して。この世の限りって顔してるぞ。俺は死なないっつーの。」
ケラケラと笑う。でも、乾いた笑いにしか聞こえないのは気のせいだろうか。
「透?」
再び君を見つめて呼ぶ。君は一瞬だけ目を合わせたが、直ぐにどこかへと目をやってしまう。
「セツ、俺は大丈夫だから。」
嘘だ。
「ね?」
嘘。
そんなの、嘘。
それだけはわかる。
「俺に、何も言ってくれないわけ?」
理由を教えてくれないもどかしさ。それに加えて、俺を頼りにしてくれていないこの現状にだんだん苛立ちを感じ始めていく。
「ねえ、梅村君。答えてよ。」
答えて。
お願いだから。
胸の中でモヤモヤする、やり場のない感情。
「セツ、風呂入れよ。」
俺の期待なんてよそに、目さえも合わせてくれない君。
悲しいな。
「ああ、そうかよ。それが答えか。」
俺はうつむいて立っている君の横を通り過ぎ、脱衣所に入る。脱衣所には俺用の着替えやタオルがちゃんと置かれていた。
好きなのに、頼ってくれない。
「ああ、くそっ!!」
意味が分からない。
胸糞悪い。
勢いに任せて服を脱ぎ捨て、浴室に入る。ジメジメとしている空間。シャンプーの匂い。君の匂い。
下唇を噛み締めながら、蛇口をひねる。
少し熱めのお湯が、俺の頭を濡らしていく。
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