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再試当日 朝
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「ん……。」
いつの間にか朝が来てしまっていたらしい。重たいまぶたを開けば、カーテンの隙間から差す柔らかな光が目に入った。となりを見れば、ぐっすりと気持ちよさそうに眠っている梅村君の姿があった。
俺は、腰掛けていたベッドから立ち上がって顔を洗いに行く。完全にベッドの上に上がっていたわけではなかったので、足がむくんで重い。
一通り身なりを整えたあと、向かうはキッチン。
美味しそうに食べてくれる君のために朝ごはんをつくろう。そして、喜んでもらいたい。
昨日買った食材の中から、今日のために買っておいたものを冷蔵庫から出す。ちょっと遠くにあるベッドでは、気持ちよさそうに眠る気にの寝顔が見える。その姿が微笑ましい。
「よし、ご飯は昨日のうちからセットしてたから炊けてるな。」
かぱっと炊飯ジャーの蓋を開ければ、白い蒸気が上がる。
「お、おはよう。」
まぶたを擦りながら梅村君が俺のもとにやってきた頃にはもう、料理を器に注ぐだけまでできていた。
「おはよう、透。」
「なんか、ごめんな。」
「何が?」
「いや、朝ごはんまで作ってもらってさ。」
「いいよ。」
「あ、じゃ、これ運ぶな。」
「ありがとう。」
梅村君がトコトコと味噌汁のお椀をテーブルへと運んでくれる。
幸せだな。
全てを準備し終えた俺たちは、昨日のように一緒にご飯を食べた。思っていた通り、君は美味しそうに俺の作ったご飯をほおばってくれる。
「セツ、今日も美味しい!」
「ありがとう。あ、口の端にご飯粒ついてるよ。」
「え?」
「こっち。」
俺は、自分の顔でジェスチャーをする。梅村君がそれに合わせて手で探る。
「あ、あった!」
一緒に笑い合う。
「一応、時間には余裕があるからゆっくり食べて大丈夫だよ。」
「うん、そうだね。」
「透と俺の再試がうまくいくといいな。」
味噌汁をすする梅村君は、頭をこくりとした。
一緒に勉強をして、助けてもらって、君のことを少し知れて……
昨日はいろいろあったな。
窓の光に照らされる君を見て、今日は頑張れそうな気がした。
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