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再試のあとは
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「テスト用紙を回収する。生徒は机の上にテストの解答用紙を裏に向けて、机に置くように。なお、支持があるまで私語厳禁。席にも立ち上がらないこと。」
テスト監督の先生が、いつものセリフを言う。そして、回収されていく解答用紙達。
ああ、早瀬先輩と河崎のお陰でいつもより解けた気がする。
梅村君は大丈夫だったのかな、と心配になる。いつもの席だったら俺の後ろに君がいるけれど、追試対象者のみで行なわれるテストでは席も変わっている訳で。君は俺とは違う列の真ん中付近にいた。俺は一番後ろの席。
遠いな。
頬ずえを付いて、俺は梅村君をジッと見つめる。彼の首は透き通るように白くて綺麗だ。日差しのダメージを受けていない髪は、サラサラで気持ちよさそう。
恋は盲目とはよく言うが、もしかしたら俺自身も今はそんな状態なのかもしれない。君がキラキラと眩しい存在に見えてしまう。俺は、自分に苦笑しながら前につきだしていた腕をなおす。目の前のテスト用紙が回収される。
これでまた再再試だったら、河崎からこっぴどく怒られるに違いない。俺も君もそんなことなく、夏休みを謳歌したいものだ。
先生がテスト終了の胸を伝えたので、生徒たちは一斉に帰る準備を始めた。俺はもちろん、梅村君の元へと歩く。
「透、お疲れ。」
俺の声に反応して、上を見上げて微笑む君。
「セツ、お疲れ。解けた?」
「うん。多分ね。」
正直あまり自信がなかったので、少しだけ濁して答える。すると、君も困ったように笑いながら濁して答えた。
「もしこれで落ちてたら、河崎の顔が見れないね。」
最後に君はそう言って、笑った。俺も「そうだな。」と言って笑う。
二人で身支度を終え、下駄箱へと向かう。
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