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下駄箱にて
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「あれ?」
梅村君と二人で下駄箱に向かっていると、図書館とつながっている渡り廊下から見覚えのある奴がこちらに向かって歩いてきていた。
「よう。今日の再試はうまくいったか?」
ニコリと微笑むチャラメガネ。
「葉山! 来てたの?」
葉山の登場に驚く梅村君。葉山は、その反応を面白そうに見てからこう返した。
「お前らが心配になって来てみたんだよ。」
葉山は面倒見がいい。そして少しだけお節介やなところがある。俺は笑ってしまった。
「なんだよ、セツ。何が可笑しい。」
「いや、お前って本当に人がいいというかなんというか。」
笑っている俺を見て、葉山は「は? なんだそりゃ。」と言って梅村君の方へ向いた。
「梅村、お前大丈夫だったのかよ?」
「うん。河崎に昨日教えてもらったし大丈夫だったよ。多分。」
「そうか。ま、明日結果がわかるしな。俺も明日来てやるから心配すんな!」
「いや、葉山が来ても意味ないじゃん。」
俺がそう言うと、眉間にしわを寄せる葉山。
「なんだと? そういうセツはできたのかよ?」
「俺は……ま、明日わかるな!」
はははは!と笑って誤魔化せば、呆れた顔をされた。梅村君は苦笑いをしている。
「と、とりあえず帰ろうぜ。」
ちょっとだけ気まずくなって、俺は話題を変えた。梅村君は「うん。」といって下駄箱の方へと歩き、葉山は用があるからと言ってまたどこかへと去っていってしまった。
そう言えば、前にも葉山は学校に来てたな。図書館に毎回言ってるみたいだけど、アイツはそんなにも本が好きなのか?
「セツ、どうしたの?」
梅村君に呼ばれて、我に返る。
「いいや、なんでもないよ。帰ろう。」
「そうだね。」
俺たちは仲良く一緒に外に出た。
一旦外に出ると、ギラギラと輝く太陽と下から熱を放つコンクリートとが俺たちをじわじわと熱くさせた。
「うわ、やっぱ昼って暑いね。」
君がまぶしそうにそう言った。
「そうだね。今日、また梅村君の家に来ていい?」
俺がそう言うと、君は暑さのせいか俺のせいか火照った頬になる。
「うん。」
そうとだけ答えて、照れくさそうに俯く君。
「ありがとう。お礼にまたお昼ご飯つくるよ。」
微笑ましい君の姿を見てそう言うと、君は顔をあげて瞳をキラキラさせた。
「本当に?! ありがとう、セツ。」
「どういたしまして。」
日に弱い君を心配して、日陰の多い並木道を歩く。そこから漏れる木漏れ日がとても綺麗だった。
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