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穏やかな時間
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また、君の部屋に来てしまった。本当は今日は葡萄農園の手伝いがまだ残っていたのだけれど、君と一緒に入れる時間が惜しくて、こうしてまた君の部屋に来てしまったのだ。家族にはなんて言ってごまかそうかな。そんなことを考えていた時だった。
「セツ、今日はテストも終わったからゲームを解禁しようぜ!」
テレビ付近でガサゴソと楽しそうにゲーム機をセットし始める君はそう言った。俺は思わず笑が溢れた。梅村君の方に歩み寄って、すぐそばで座る。
「セツ?」
そして、君を後ろから抱きしめた。
「梅村君。」
君の名前を呼べば、穏やかに笑ってこちらを振り返ってくれる。
「どうした? セツ。」
「なんだかさ、こうしたくて。」
梅村君は、嬉しそうに俺の方へと体を預ける。
「重い?」
くすりと笑いながら君はそう言った。
重くなんかないよ、むしろ、もっとそうしていたい。
敢えて口には出さずに、俺も前へと重心を傾ける。
「こうしてるとさ、小学生の頃を思い出すな。」
ふと君が呟く。
「小学生の頃さ、よく校長先生が言ってたんだ。」
「なんて?」
「人という字は……」
校長先生の口調を真似ているのだろう、少し口をすぼめて話す君は面白おかしい。
「人という字は、人と人が支えあって出来ている字です。」
言い終わったあと、チラリと俺を見る君。
「あったね、そう言うの。俺の学校でも流行ったな。」
君のサラサラした髪に顔を埋める。梅村君の匂いがして落ち着く。
「やっぱり、セツのところでも流行ってたんだ。」
「うん。」
「ねえ、セツ。」
「何?」
「キスが、したい。」
ジッとしたままの君。でも、顔がうつむいているのが分かる。恥ずかしいのかな?
俺は前かがみになりながら、微笑んで君の顎を持ち上げ、後ろに向けた。
”ちゅっ”
これで何回目だろうか、君とするキスは。
君と唇を重ねれば重ねるほど募ってゆく思いは、君に届いているだろうか。
何度も、何度もキスをした。
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