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根本的な何か 2
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潤む瞳。君をこんなふうにさせてしまった過去って、どんなものなのだろうか。それを思うと、胸が苦しくなった。
「セツは、俺のこと嫌いになったの?」
「好きだよ。」
「でも、俺とのセックスが嫌なんでしょ?」
「好きだよ。」
「じゃ、なんで?!」
パサりと君が見にまとっていた毛布が下に落ちた。
「好きだから。」
「意味が分かんないよ!」
「分かって。」
「分かんない。」
「分かって。」
君をしっかり見つめて何度もそう言うと、怯む君。
「透のこと、すごく好き。どんな過去があろうとも、俺は君を好きでいれる自信があるよ。だから、透も何かに怯えなくていいんだよ。」
「怯える? 俺が?」
「そう。」
目を伏せて、何かを考え始めた君。しばらくして、腰に落ちた毛布を他所へやる。
「透?」
毛布を邪魔にならないところへ移動させてから、君は俺の方へと向いて正座をした。ベッドが微かに揺れる。
「俺、あんなことをするしか出来ないんだ。」
膝の上に置かれている拳は強く握られていて、緊張しているのが分かる。
「俺も、セツのことが好き。」
「うん。」
「だから、昨日の夜も朝も、セツに喜んで欲しくてやったんだ。」
「うん。」
チラチラと俺を伺いながら言葉を紡ぐ君。
「でも、それが違うってセツは言うんだよね?」
「うん。」
「俺、どうしたらいいのかな?」
自信がなさそうな目でこちらを見つめてくる。俺は、君に近づいてゆっくりと抱きしめた。
「セツ?」
「何もしなくていいんだよ。」
感じる、君の暖かさ。
だから、君にも感じて欲しい。
俺の暖かさを。
「透が本当にしたいって思った時にセックスはすればいいし、キスだってすればいい。俺もそうする。お互いにお互いを大切にしていこう? もちろん、自分自身も大切に、ね?」
抱きしめたまま頭を撫でれば、俺の肩が湿りだす。
「透?」
強い力で俺を抱きしめ返す君の手。
「セツ、ありがとう。」
「え?」
「そんな風に言われたの、初めてだ。」
声も出さないで静かに泣いている君を感じて、言えることはたった一つだけ。
「透、好きだよ。」
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