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錆びれたブランコ 2
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君と若葉さん、二人の似ていないところを必死で探した。
「透君、寂しい思いをさせてごめんね。忘れられなかった。ずっと、君のことばかり考えてた。」
若葉さんはそう言うと、俺を前から抱きしめた。
キィっと微かに音が鳴るのが聞こえる。
そうじゃない。
俺は確かに寂しかった。でも、そうじゃないんだ。
必死で若葉さんとは違うところを頭の中で探すのだけれども、涙ばかりが溢れて全然考えられなかった。それがまた、俺の罪悪感を掻き立てる。
俺って、最低な人間だ。
綺麗な君とは、もともと縁がなかったのだ。何かの悪戯で君と俺とが出会ってしまっただけで、君と恋人になることなんて最初から許されることじゃなかったんだ。
「馬鹿だよな、俺。」
ぽつりと口に出た言葉に若葉さんは気にも止めず、俺の背中を優しくさすってくれる。
嫌だな。そんなに優しくして欲しくないな。
そう思いながらも、俺は若葉さんの背中に手を回してしがみついた。
若葉さんの暖かさ、優しさ、匂い、俺はこの人を知っている。好きだった。
すごく好きだった。
どうしたらいいのだろうか。
こんな汚くて最低な俺は、どうしたらいいのだろう。
泣き喚く俺に、悪魔の囁きが聞こえた。
「透君、もう一度俺と付き合おう。」
俺と若葉さんしかいない公園。色鮮やかな葉をつけた木々がざわざわと音を鳴らした。
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