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出会い3
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「あのさ、透君。」
あの告白があって一ヶ月が経った今でも、俺はそのパン屋に足を運んでいた。若葉さんとはすっかり仲良くなり、朝パンを買うついでに少しばかり話をしていくのが日課になった。今日も同じように若葉さんと話していると、真剣な表情をして俺の名前を呼ばれた。
「はい?」
「透君、明日の土曜日って暇?」
緊張しているのか、こわばった顔をしている若葉さんを見て可笑しくなる。
「空いてますよ。それより、どうしたんですか? 変な顔してますよ。」
俺が笑うと、一瞬驚いた顔をされた。
「透君が笑うの初めて見た。やっぱり、可愛い。」
「え?」
「あ、いや、なんでもない。あのさ、明日透君さえよければ一緒に行きたいところがあるんだけど、どうかな?」
「行きたいところ?」
「うん。実はさ、俺の友達が美大なんだ。それで明日その大学の人たちで展示会をするらしくって。俺その入場券もらったんだけど、それが二枚でさ。」
へへへっと微笑む若葉さん。
「別に俺じゃなくても……」
言い切る前に若葉さんが続けた。
「透君とがいい。てか、俺透君が好きだから彼女とかいないし。でも一人で行くと寂しいやつみたいじゃん? 他の野郎と行っても虚しいだけだし。それに透君だったら、俺の弟の友達ってことにできるから、不思議がられないし。」
「弟?」
「あ、俺弟いるんだ。まあ、そんなことはどうでもいいや。透君、土曜日一緒に来てくれない?」
顔の前で両手を合わせてお願いしてくる若葉さん。
いつもお世話になってるし、それくらいしてもいいかな。
それに、美術展て興味があるし。
俺は少しだけ考えて二つ返事をした。
*
「葉山。」
「おう。」
昼休み。俺の隣にいるのは、やっぱり葉山で。そして、コイツも今日も飽きずにメロンパンを食べている。俺は、葉山をチラリと見たあとに言う。
「やっぱり、なんでもない。」
「じゃ、呼ぶなよな。」
「うん、そうする。」
「いやいやいや、ちょっとは呼んで?」
「どっちだよ。」
「あれ?! なんで俺が怒られてんの?!」
「さあな。」
葉山に相談すべきか迷ったが、これは俺の問題なのだから自分で解決することにした。
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