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目に映るもの
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「………?…」
ここは?
「愁…っ!」
!
まだ…僕は…夢を見ているのだろうか…?
声の主は僕の名前を叫んで泣きそうな顔をしている。
「…れ……じ…?…」
目の前に居たのはさっきまで一緒に海を見ていた零次だった。
「…おい、…大丈夫か?!返事しろ!」
久しぶりに人と話した僕の声はひどく掠れていて、うまく届いていないようだった。
僕は必死で返事をする。
「…だ…ぃ……ぶ……」
少しふわふわするけど、大丈夫。
それよりどうしたの?
零次のそんな顔…初めて見る
「頼む…ちゃんと…返事をしてくれ…」
大丈夫だよ?
零次に迷惑かけたりしないから…
「愁…おい、愁!」
返事してるよ、大丈夫だってば…
それにしても
…僕の名前を零次が呼んでくれたの久しぶりだね…
なんか嬉しい…
「愁、目を閉じるなよ…」
閉じないよ
零次の顔…こんなに近くでちゃんと見るのは…初めてだから…
そうだ…もう会わないって言ってたのに…
なんでこんなところにいるの?
どうして会いに来てくれたの?
忘れ物?
でもよかった…もう一度会えて…
僕…零次に聞いて欲しいことが…あるんだ
「大丈夫かね?!」
零次の後ろから声がする。
誰…だろう?
「わかりません…目は開けたんですけど、あまり反応が無くて…っ」
零次が必死な様子で後ろの男の人に話している。
「あまり動かしちゃいかん、救急車を呼ぶかね?」
「はい!お願いします!!」
救急車…?
男の人が急いで部屋を出ていく気配がする。
みんなそんなに慌ててどう…したのだろう…
「…愁…しっかりしろ…頼む…」
祈るように僕の手を握り呟く零次。
零次の肩が微かに震えているように見える。
零次…?
どうして…そんな顔…
大丈夫だってずっと言ってるのに…
少し大胆だと思いながらも零次の頬に手を伸ばそうとして、自分の身体が全く動かない事に気づく。
…あれ?
何でだろ…
せっかく零次が…来て…くれたの…に…
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