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おまけ【新しい日々】④
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背中で押したレバーで勢いよく流れるシャワーの温水が俺たちの身体を打ち付ける。
狭い浴室に湯気を立ち上げて打たれたままする口づけは、水の中で酸素を貪り合うみたいな錯覚を起こして唇を離してしまったら窒息してしまいそうな気がして止められない。
待ちきれなくて上着だけを投げ捨て、たいして服も脱がずに浴室に飛び込んだ所為で、俺のジーンズも愁の部屋着も重たくなって身体に張り付いている。
細い身体の線を露にさせる濡れた愁の薄手のパーカーのジッパーを下げ腕を抜くと、重たくなったそれはバシャンと音を立てて浴室の床に落ちた。
「………俺のも脱がせて」
口づけの合間にそう囁くと愁の手が戸惑いながら俺のジーンズのホックを外す。
愁の細い指がジッパーを下ろすと、すっかり硬くなった俺の劣情が解放されて愁の手に触れた。
「………なあ、わかる?……俺がアンタのことどれぐらい欲しがってたか」
「!」
俺の言葉に愁が恥ずかしそうに目を臥せる。
触れ合ってない間に募った熱は俺にとって結構なもので。
コイツの入院の以来こんなに我慢したの久しぶりだから当然限界なんか越えていて、一人で抜こうにも一人になる時間なんか無いもんだからもう取り返しのつかないことになってる。
「ん……っ…」
すっかりと濡れた愁のスエットも身体のラインを浮き彫りにしていて、愁も俺を欲していることがよくわかる。
愁が俺の状態に恥ずかしがったのはきっとこの所為もあるのだろう。
俺は口づけをしたまま足まで使ってそれを脱がすと、愁を生まれたままの姿にして抱き寄せる。
同じ構造をした二つの身体がお互いを欲して興奮している。
同じ劣情だからよくわかる。
熱く硬いそれがもどかしく触れ合って煽られて、もっと欲しくなって悶えている。
「……あっ……!」
二つの劣情を束ねて握ると愁の身体が跳ねた。
怒張して質量をいっぱいにしたそれは俺も愁も同じで、擦り上げると背を這う快感も同じように感じているのかと思うといつもと違う興奮を呼ぶ。
「愁……俺の身体洗って……手ぇ止めたくないから」
「!」
壁に掛けられたラックからボディーソープを取って手渡すと、愁は俺に一番敏感な場所を握られたまま身体を震わせ困ったようにそれを受け取った。
同じくらい切羽詰まった俺たちはこの悦を手離したくないのはきっと一緒で、だったら身体を清めるのは愁にやってもらうしかない。
「……愁……早く………我慢すんの、アンタ辛いだろ?」
そう言いながらゆっくりとそこを上下させると、息を漏らす愁の顔が堪らなく色っぽい。
辛いのは俺も一緒なのに愁の所為みたいに言ってみて、羞恥に染まる愁の顔を堪能する。
焦らしたのも煽ったのもコイツなんだから、それくらいの意地悪はさせてもらう。
「……っ……ん…」
身体を小刻みに震わせて、眉を寄せて俺を見上げる顔は一言で言うとかなりエロい。
こんな顔見せられたら今すぐ押し倒したくなるけど、あんだけ焦らされたんだからと下らない意地で自分をなんとか律して愁の焦燥を煽った。
「ほら……早く」
そう短く告げると愁が泣き出しそうな顔をして頷いた。
快感に耐えながら愁が光沢のある乳白色の液体を俺の身体に撫でつけると、熱くなった俺の肌にほんのりと冷たく感じるそれと愁の細い指が与える繊細な感触は、快感としては物足りなくてそれがまた俺の鼓動を早めた。
泡立てては消えていく花の匂いのする液体は出しっぱなしのシャワーの水に流されてしまって、まるで俺の身体なんか洗えてなくて、無駄に思えるその行為はもうただの稚拙な愛撫のようなものへと変わっている。
擽ったくて、もどかしくて、その辿々しさが愛しくて、高まっていく自分を感じる。
「……ここにも」
少し強めに握ると俺の言葉の意味がすぐにわかった様子で愁の手が止まる。
「愁」
名前を呼ばれて、泡を纏った愁の手が戸惑いながら俺の手の上に重ねられた。
俺は愁の指の間に指を絡め、泡でぬるぬるになった指でまたそこを締め付ける。
「ん……っ…」
手の中で愁のそれがピクンと悶えて震える。
「………動かして」
そう言って動きを促すと愁の手もゆっくりとそれについてくる。
泡だらけの指は絡めてぎゅっと絞めても逃げていってしまって、そのもどかしさに全身が粟立つ。
欲しいと思う気持ちが焦らされて、それを埋めるように上下に手を動かすと、まるで指まで性感帯になってしまったみたいにその感触がふたりの息を早くして、絡み合うそれと与えられる直接的な快感の二つに翻弄されて身体が震える。
「……んっ…ぁ……ん…っ……」
くちゅくちゅといやらしい音を立ててどちらとも言えない力で擦り上げて高まっていく悦が、二人の吐息をどんどん短く浅いものへと変えた。
降り注ぐシャワーの水が焦燥を誘って何も考えられなくなる。
「………ぁんっ……あ……っ……れ……じ……っ」
一度動き出してしまったら加速していくその動きに愁の羞恥心が徐々に解れていく。
夢中になって快感を貪る内に愁の吐息は小さな嬌声を含み、目の前でコイツが蕩けていく様子を見せられて、俺の理性が限界を迎えている。
「………愁…」
さっきまで泣きべそをかいてた愁が劣情に濡れて、顔を上向かせ快感に抗いながら飲み込まれていく。
迫り来る悦から何とか逃れようと苦しそうに寄せられる眉、ヒクヒクと震える首筋。
矛盾しているよな。
気持ちが良くなりたくてこんなことしてるのに、そんな風に抗うのは。
じきにそんな鎖は解けて、獣みたいに貪り合ってしまうのに。
俺はコイツを早くその呪縛から解放させてしまいたくて、激しく上下をさせながら愁の先端を指で抉るように刺激してやる。
「んあっ!……だ…めっ………あ…っ」
強い刺激に驚いたのか、愁の身体が一瞬ひきつったように跳ね、首を振ってビクビクと快感に震える自分を否定する。
だけど身体の方はとっくに屈服していて、わずかな理性が否定的な言葉を何とか溢すしか出来ない愁の愉悦に溺れていく姿が、俺の焦燥を酷く掻き立てる。
「………あっ……ん……ぁ…あ……っ……」
愁が俺の肩に爪を立てた。
しかし泡を纏った愁の短い爪は俺の肌の上でつるつると表面を弱々しく掻くだけで、やり場を無くした劣情をもて余して踠いている。
目の前で繰り返される愁の艶っぽい吐息を掻き消すように唇を奪うと、酸素の足りない愁の身体がピクンと跳ねて震えた。
俺は向き合ったまま昇り詰める感覚に酔いながら唇を吸っては、歪められる愁の張りつめた表情に全身が痺れて溶けていく。
「……っあ……っ…も……もう…っ………」
愁の身体が硬直し始めて、限界を迎えようとしている。
こんなセックスでもない中学生がやるような稚拙な行為に、俺も愁も魔法にでも掛かったみたいに興奮して一気に駆け上がる。
「…………愁……っ…」
泡だらけになって抱き合い、夢中になって出口を探す。
熱くて、息苦しくて、もどかしくて、気持ちがよくて、気が遠くなる。
俺と愁の絡み合った手を激しく動かして、まるで自慰をしているような後ろめたさと、唇に触れる自分のものではない荒い吐息がいけない事をしているような不思議な感覚を纏ったまま真っ直ぐに高みへと向かっている。
絶頂へ届く手前、目を開けると額をつけたまま俺を見上げる熱っぽい愁の瞳がぎゅっと細められた。
果てるその一瞬でさえも俺に向ける愁のまるで愛を叫んでいるようなその眼差しが、胸に飛び込んで来て俺を打ち抜いた。
溢れだす愛しさと激情が凄まじい力で俺を拐う。
「……れぃ……じ……っ……」
「………ゅ……………っ」
無数の閃光が全身を突き抜けて、愁の俺を呼ぶ声だけしか聞こえなくなる。
直前まで見つめ合いながら、俺たちは同じ場所へと飛んだ。
「──────っ!!」
俺の名を呼びながら極みに到る愁と俺の劣情が同時に弾ける。
絡み合う指に、抱き合う身体に、ふたりの重たく生温い体液が散り、せっかく流した身体を白濁でいっぱいにすると、俺は不確かな何かを少しだけ埋める事が出来た気がした。
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