アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
[ prologue ]
-
.
「もう、元には戻れないかも」
そう切り出したのは間違いなく俺だった。あんなに大好きだった恋人。好きで好きでどうしようもなくて今までもこれからも離れる事なんて絶対にないと思っていた恋人。
それなりに長い月日を共にし、苦しいことも楽しいことも共有してきたつもりだった。
別れるのに特別理由があったわけじゃない。きっとお互いの存在が薄れてきただけだ。ただそれだけ。ただ相手にとって「俺」の必要性が薄れてきただけ。きっと。
「彼女の束縛がひどい」
と愚痴を漏らすノンケの友達がいたが、俺の恋人といえばそんなものとは程遠かった。
俺が何をしてても 誰といても、俺がずっと連絡をしなくても何も言わない。反対に何かあっても俺には何も話してくれない。例えばそれが二人にとって大事な問題であっても、俺に対する不満であっても、だ。
「僕ってそんなに頼りない?」
何度も口にした言葉。隠し事はなしにしよう、付き合いたての頃に交わした約束も後になれば虚しいだけだった。
俺は同じ気持ちを共有していたかった。
相手が悲しいとき つらいときは俺も一緒に泣いて悩んでその気持ちに寄り添い、相手が嬉しいときは一緒になって喜びたい。
大事なことは二人で考えてどんな時だって同んなじ景色を見てたかったんだ。
「… 僕って必要?」
純粋だった、そう思う。
あの頃の俺は、俺の言葉はひどく弱々しくて 情けなくて。
もう、要らない。
恋愛なんて傷付く事の方が多い。
あんな女々しい自分はもう2度と御免だ。
だから、要らない。
______ そんな時に現れた
「 よく駅で会う子だよね?」
いかにもモテそうな いかにも苦労してなそうな 俺とは正反対の……
出会ってしまったんだ。
.
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
1 / 4