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あぁ、これはー3
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何度こいつを見ては、心臓が跳ねたことか。
「俺は、お前が嫌いだ」
ーーーー目の前のこいつを独占したい。
嫌い、なんて言いながら、
今にも泣きそうな顔をする。
酷く寂しそうな顔をする。
ゆらゆらと、瞳が揺れている。
小刻みに、拳が震えている。
「お前も、嫌いなんだろ…」
自分の中で、一人でもがいている。
「嫌いって!言えよ!!」
過去に縛られているのは、俺だけじゃ無い。
俺を、ちゃんと見ていないのはこいつも同じだ。
俺は、“春くん”じゃない。
お前を、否定したあいつじゃない。
「嫌いじゃ、ない」
「は…?嘘、吐くな…」
「嫌いじゃない」
「嫌いなんだろ!?だから、俺を拒否した!」
ガッと、再び襟元を掴まれる。
息が、少し苦しい。
「それは、“俺”じゃない」
「お前だろ…っお前じゃんか!」
ぼろぼろと、遂にその瞳から、涙が溢れ出してしまった。
彼の頬を伝って俺の頬に落ちてくる。
その涙を拭ってやりたい。
その体を抱きしめたい。
「…そうか…」
「は?」
雪城にこうしてまた向き合って、俺は気づいてしまった。
あぁ、これは。
「俺、」
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