アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
ーoneー
-
ここ最近、街が賑やかだ
余り気にもしていなかったけど、街が赤と緑色に染まっていた
コンビニに行けば、ケーキの予約を勧められるし、CMでは楽しそうな家族の笑顔がひっきりなしに流れている
そんな街の片隅のベンチに腰掛け、ぼんやり広告塔を見上げていた
やはり、大きな木に煌びやかな飾りのついたポスター
「いくら?」
「ショートは60分1万、ロングは朝までで5万」
「じゃ、ロングで」
「前払いね」
「わかった」
そして俺は365日、同じ場所で客を取って暮らしていた
親の顔は知らない
生まれた時に公園に捨てられていたらしい
だから親の顔が見たいとも思わない
その後はドラマのような展開
施設に入れられ、いじめられ、学校にも行かず施設を飛び出したのは15歳の時
施設側は親の無い子供なんて捜す気も無さそうだ
だって、現に俺はこうして一人で生きているんだから
「これでいいか?」
差し出された金を確認して頷いた
さっき出会った男、名前も知らない
そんな男に肩を抱かれ、いつものようにホテルに入った
でもって、毎回のように始まるのは説教
「君みたいな子がこんな事をしてはだめだろ?ご両親が悲しむぞ」
だからと言ってそのまま返してもらえるはずも無く・・・・・
「ほら、もっと声出せ!」
「ああっ・・・・いいっ!」
「5万円分は可愛がってやるからな」
「ひぃ!・・・・・そんな物を・・・入れちゃ・・・ああっ」
どこから買ってきたのか、太いバイブを無理矢理突っ込みながら笑う男
こいつにも家族ってのがあるんじゃないの?
大人ってホント、汚いね
「腰を振れ!」
「ああっ・・・あっ・・・ああっ」
嘘くさい喘ぎ声を出しながら、窓から見える夜景を見つめていた
今夜は雪が降りそうだ
「いくぞ」
「中はだめ」
「黙れ!」
「ああっ・・・・っ!」
ダメという言葉が通じないらしい
こういう大人が子供をダメにするんだ
「このままやるぞ」
「あっ・・・・ああっ・・・・もう・・・・」
「そんなにいいのか?淫乱め、ほらこれを入れてやる」
「無理・・・そんなに太いのは入らない」
「黙れ」
そう言いながら拳ぐらいある太いおもちゃを無理矢理押し込んだ
「ぎゃーーー!」
「裂けたのか、それともよすぎて声が出たのか?」
いいわけない
むしろ下手すぎて笑えるし、裂けた部分が熱い
太ももを伝わるのは血だろう
「いいぞ・・・・ところで君の親御さんは?」
「・・・・・いないよ」
「そうか、なら好都合」
その言葉を聞くまではなにもわからないまま芝居を続けていた
でも、明らかに男の表情は変わっていた
「もう下の口はつかえないかな」
「誰のせいだよ、ふざけんな」
「私はね、一度でいいから生きた人間の体を切り裂いてみたかったんだ」
「やめろよ」
「捜していたんだ、身寄りのない奴をね・・・なぁに殺しはしないさ」
「ふざけんな!もう帰るからどけ」
「そうは行かない」
そういいながらナイフを取り出し、腕を切り裂いた
「うあぁぁ!」
「いいぞいいぞ、その顔はそそられる」
今まで変態はたくさんいたけど、こいつはまじでやばい
このままだと殺されてしまう・・・そう感じた
「どけよ!」
上にのしかかった男を蹴飛ばし、ベッドから降りようとしたらまた腕を掴まれた
「離せ!変態野郎!!」
今度は思い切り蹴飛ばした瞬間、男はベッドの下に落ち、動かなくなった
「えっ?」
そしてじんわりとした赤い血が絨毯を染めた
「嘘だろ・・・・」
そっと男に触れても反応が無い
思い切って男を仰向けにすると、ナイフが心臓に突き刺さっていた
「俺が・・・悪いのか?違う・・・これは正当防衛・・・でも」
混乱した頭で考えても答えは出て来ない
どうしよう
どうすれば・・・・・・
警察を呼んで正直に話そうか?
俺のされた行為を話せば・・・ダメだ、俺は未成年だった
きっと、俺の話なんかまともに聞いてはくれない
このまま捕まったら、殺人で逮捕される
バクバク音を立てる心臓
頭から血の気が引くのがわかる
しばらく様子を見ていたけどやはり死んでいるみたいだ
ここは初めて入ったホテル
俺はフードをかぶってずっと俯いていた
部屋に隠しカメラも無さそうだ
何とか呼吸を正常に保ち、男のスーツから財布を取り出した
「弁護士かよ・・・」
いけないと分かっていても、財布から札を抜き取り綺麗に指紋を拭いた
急いでシャワーを浴び、サングラスとフードをかぶって無言で部屋を出た
その瞬間も心臓はバクバクしていた
ホテルから出て、しばらく歩き路地裏に入って思い切り走り出した
どうしよう
何で逃げたんだろう
何でお金なんか
でも、全て後の祭り
今更戻れないし、警察に自首するつもりもない
弁護士の金持ちにされた行為を考えると、あんな奴は消えて当然なんだ
そうやって必死に自分を正当化しようと考えながら走った
途中で安い服を買い、着替えてコンビニに向かいゴミ袋と雑誌を買い、着ていた服と雑誌を破いて全て押し込んでスナックのゴミ置き場に捨てた
この辺なら明日の朝、ゴミ収集車が来るはず
ホテルのチェックアウトは10時
なんとかなる・・・ならなければ困る
「ハァハァ・・・・」
暗い路地裏に座り込み、これからの事を考えていた
明日にはニュースになってしまうだろう
フードをかぶっていても顔が映っていたらどうしよう
そんな不安が精神状態をおかしくさせた
「ぎゃああ」
「えっ?何・・・」
突然聞こえた悲鳴
俺は思わず立ち上がり、暗闇を見つめた
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
1 / 4