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日向翔陽の大冒険!
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「日向。これに着替えて」
そう言って日向は清水と谷地から子供服を渡された。
今の日向の格好はいつもの練習着のTシャツを着ているだけ。
もちろんいつものTシャツですら大きく、ワンピース状態である。
しかもサイズが合っていないため何度か裾を踏んで転びかけている。
それを見かねた鵜飼が知り合いに頼んで子供用の服を調達してもらったのだ。
「あ、ありがとうございます!」
日向は清水から洋服を受け取ると武田と共に一度部室に戻り、着替えを済ませた。
日向は一人で大丈夫だと武田の申し出を断ったが、菅原に全力で説得され武田に抱っこされながら部室に向かった。
(あんな天使(日向)が部室棟の階段から落ちたりしたら…あぁぁぁぁぁぁ!!)
なんてことを菅原が考えていたとは露知らず。
日向はテカチュウが書いてある半袖とシンプルな短パンに着替え、体育館の隅でみんなの練習を見守っていた…が、やはりバレー馬鹿と書いて日向と読む。
日向は何度かコートに乱入し、その度に菅原や澤村に叱られた。
烏野の父・母に叱られてしまい、少し落ち込みながら日向は大人しく座って練習を眺めていた。
日向のそんな様子を見て可哀想になった谷地はバレーボールを日向に渡した。
するとぱぁぁぁ!という効果音が似合いそうな笑顔で谷地にお礼を言った。
(はぅ!ま、眩しい!笑顔が眩しいです!)
谷地が一人悶絶している間に日向は一人でもできるレシーブ練を始めた。
しかし、体が小さくなったことでボールがいつもより大きく感じ、なかなかレシーブが続かない。
そんな日向をまたしても月島はからかった。
「元々下手だったレシーブがさらに下手になったねプププー」
…いつもの日向ならこんな月島の嫌味にも言い返せただろう。
今回もそのつもりでいた日向はなぜか目の前にあるバレーボールが滲んで見えた。
「……」
「日向…?っ…!」
反論しない日向に違和感を覚え、月島が日向の顔を覗き込むと日向は目に沢山の涙を浮かべていた。
「う、…ヒッぐ…ぅぇぇん…」
日向自身も涙が出る理由が分らなかった。
泣き止まないとまた月島に馬鹿にされる。
頭では分かっているのに拭っても拭っても溢れてくる涙。
声がしゃくり上げてしまい、喋る事すら出来ない。
日向の幼児化は月島達と違い、頭ではなく、メンタルの強さが幼児化していたのである。
子供のメンタルで月島の嫌味に耐えられるはずもなく、爆発したのだ。
「どうした?!」
「日向?!」
日向の泣き声を聞きつけた部員数名が集まってくる。
(あぁ!もう!)
月島は心の中でそう叫ぶと泣き続ける日向を抱き上げ、自分の肩に日向の顔を埋めた。
突然の事に頭がついて行かない日向だったが、月島の匂いを嗅ぐと落ち着きを取り戻し月島の首に腕を回した。
涙もいつも間にか止まっていた。
そして泣きつかれたのかそのまま日向は眠ってしまった。
静かになった日向に月島はほっと小さく息を吐き、日向を駆け寄ってきた谷地に託そうと日向の脇に手を差し込んだ…のは良かったものの、日向は月島のTシャツをしっかりと掴んで眠っている。
結局、無理矢理引き剥がすのは可哀想という事になり、月島は日向と共に見学となった。
ぼぉ…と練習風景を眺めながら月島は無意識に自分の腕の中で眠っている日向のフワフワとした髪を撫でた。
すると日向は嬉しそうに顔を緩め、月島の手に擦り寄ってきた。
月島は目を見開いたが、日向の髪を撫でる手は止めず、暫くの間日向のフワフワな髪を堪能した。
「ん…つき…し、ま…」
日向の寝言に不覚にもときめいたなんて死んでも言えなかった。
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