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可愛くない子は変わらない? (及川→影山♀) ※女体化注意
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及川side
次の日の午後練、俺は体育道具室でボールを磨いていたトビオちゃんを捕まえることに成功した
トビオちゃんはあからさまに顔を歪めて「…なんですか」と嫌そうに俺に要件を尋ねてくる
トビオちゃんの表情にショックを受けながらも俺はトビオちゃんを褒めようと口を開いた
「まだボール磨きしてるの?仕事遅いんじゃない?」
(いつも丁寧にボールを磨いてくれてありがとう)
自分でも失敗したとすぐに理解した
でも俺の口は止まらない
「他の子達はもうとっくに他の仕事に取り掛かってるのに、…トビオちゃんサボってたの?」
(やめろ)
「それにさぁ、他の子はみーんな笑顔で愛想いいのにお前だけ無愛想だし髪も無駄に長くて不気味だし、女子力の欠片もないよね」
(止まれ)
「ほーんと、トビオちゃんって」
(これ以上)
「可愛くないよね」
(トビオちゃんを傷つけるな…!)
自分の唇を噛んで無理矢理口を閉じるが時すでに遅し
トビオちゃんは俯いて何も言わない
俺が謝ろうとした口を開いた瞬間に「失礼します」と早口で言うと体育館を出ていってしまった
俺は暫くその場で固まってしまった
動き出せたのはトビオちゃんが見えなくなってからだった
「っ…くそっ!!」
「及川?!」
岩ちゃんが俺を呼び止める声が聞こえた
でも今はそれどころではない
(トビオちゃんに謝らなくちゃ!)
それしか頭に無かった
トビオちゃんがどこに行ったのか検討もつかないくせに、足はいつもみんなが使っている部室に向かっていた
部室の扉は少し開いていて、俺の脳はトビオちゃんはそこにいると確信した
扉を開けるとやっぱりそこにはトビオちゃんの姿があった
トビオちゃん…と小さく名前を呼ぶと呼ばれた本人はゆっくりとこちらに振り返る
その時初めてトビオちゃんが手にハサミが握られている事に気がついた
「と、トビオちゃん、ハサミなんて、なにに…」
使うの…と尋ねようとした
だが、出来なかった
じゃきっ!
そんな音と共にトビオちゃんの長くて綺麗な黒髪が部室の床に落ちる
俺は何が起きたのか分からなくて、ただただ目を見開いていた
「これで、満足ですか」
酷く冷淡な声だった
トビオちゃんから初めて聞いたその声に俺は反射的にトビオちゃんの顔を見る
トビオちゃんの顔はもう限界だ、という顔をしていた
「俺が可愛くないなんて、ずっと前から知ってます。この髪も国見に言われて伸ばしてただけで特に意味もこだわりも無いです。無愛想は昔からだし、笑顔も苦手で、愛想を振りまくとか、そういうことも出来ませんでした」
「だから、及川さんが俺の顔を見て不快な思いをするなら顔は変えられなくても、せめて髪だけなら…と思って」
何も言えなかった
トビオちゃんが純粋なのは知っていた
そしてバレーが大好きで“バレー選手”の俺が好きだということも
俺の心情を知ってか知らずかトビオちゃんは言葉を続ける
「俺…マネージャー辞めます」
「!!!!」
「今まで、ありがとうございました。バレ-、頑張ってください」
そういうとトビオちゃんは唖然としている俺の手に退部届けを握らせて部室を出ていった
切られた髪はいつの間にか無くなっていた
トビオちゃんが片付けたらしい
「っ…トビオちゃん…ごめん…ごめん…」
すれ違いざまに見えた腕の痛々しい痣
トビオちゃん………ごめんね
部室には俺の謝罪の声がいつまでも響いていた
end
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