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貴方に贈る 岩泉×及川(※死ネタ注意) 蛍飛様リクエスト
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岩ちゃんが交通事故で亡くなった
その知らせを聞いたのは夏休みに入ってすぐ、蝉の声がちらほらと聞こえ始めた頃だった。
信号を無視したトラックと衝突。即死だったそうだ。病院に駆けつけた俺を出迎えたのは、真っ白なベットの上で眠る岩ちゃんと、泣き崩れた岩ちゃんの両親だった。その光景を見て立ち尽くした俺は、看護婦さんに背中を押されてようやく岩ちゃんの元へ歩み寄った。
「岩ちゃん」
呼び慣れたその声が、震えた
「岩ちゃん」
呼べば、必ず答えてくれた岩ちゃんは今はピクリとも動かない。
「…岩ちゃん」
『及川』
「くっ…うぅ…な、んで、…いわちゃ…なんで…!」
目頭が熱くて、頬に濡れた感触を感じる。ぼろぼろと零れる涙はいつまで経っても止まらない。涙を拭いながら目を閉じる。頭に浮かぶ岩ちゃんはいつでもかっこよくて、男前で、俺の相棒で、…恋人で
どうして岩ちゃんなんだ
なんで、どうして、
そう考えずにはいられなかった。
膝から崩れ落ちた俺を岩ちゃんの両親は優しく抱きしめてくれた。一番辛いのは、自分達なのに。
岩ちゃんのお父さん…おじさんは、俺にリボンの付いた箱を差し出した。涙で前が滲んでよく見えなかったけど、それは確かに誰かへのプレゼントだった。俺が顔を上げると、おじさんは涙を乱暴に拭って口を開いた。
「これは、一が徹君の為に買ったものなんだ。恐らく、誕生日プレゼントだったんじゃないかな」
俺は目を見開いた。岩ちゃんが、俺に誕生日プレゼントをくれたことなんてなかったから。驚いて固まっている俺に、今度はおばさんが俺の頭を優しく撫でながら続けた。
「一ね、毎年徹君にプレゼントあげようと頑張ってたの。でも結局考えすぎて渡せなかったのね。でも今年は特別だからって。徹君、受け取ってあげてちょうだい」
俺はただ頷くことしか出来なかった。
おじさんから箱を受け取り、ゆっくりと綺麗に巻かれたリボンを解いていく。藍色の箱を開けると、銀色に光るリングがチェーンに通されたシンプルなネックレスが二つ鎮座していた。見覚えのあるこれは、前にペアルックにしたいと俺が騒いだものだった。
「っ…!」
あの時は即座に却下されたのに、岩ちゃんはちゃんと覚えていてくれた。誰かにプレゼントを渡すなんて、苦手なことをやろうとしてくれた。
「っあ"りがとう…あり、がとう…いわちゃん…」
抱きしめたネックレスがカチャリと揺れた。
それは確かに岩ちゃんがいた証拠であり、俺と岩ちゃんが愛し合っているということの目に見える形であった。
「岩ちゃん……大好きだよ……」
どうか、眠りについた岩ちゃんが安らかに休めますように……
end
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