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呼び出しの理由
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僕は今、理事長室の前に立っている。
今朝早く、呼び出されたから。
あー、昨日色々あったから大原くんの叔父である理事長にはあんまり会いたくないんだけれど……
扉の前に立っていつまでもグズグズしていたら余計待たせてしまうから意を決してノックする。
理事長「入りなさい」
扉の向こうからは当たり前だけど理事長の声が聞こえてくる。
僕「失礼します」
部屋に入ると理事長はいつもの仕事用のデスクではなく、対客用の向き合う形になっているソファに腰掛けていた。
理事長「座りなさい」
僕「はい」
さてと、といきなり本題に入るようで、そんなに重要な事なのかと首をかしげる。
けれど、そんな呑気な考えは一瞬で崩れ去っていった。
理事長「私の甥に手を出したというのは、本当かね?」
僕「はい?」
まさか、まさか昨日のことを言っているのだろうか。
僕「手、を出したって……」
理事長「おや、蓮はそう言ってたんだがね。
他の紀田くん達も同じく。
蓮を泣かせた、と」
僕「、は」
なんて親バカなのだと、思ってしまった。
僕「昨日、大原くんが僕のせいで泣いたのは事実ですが……」
ス、と目を細めて僕を見る理事長。
理事長「突き飛ばしたのも、事実だろう?」
事実だ。
理事長「それで少し怪我をしてしまってね」
これは、嘘だ。
あの後、元気だったじゃないか。
僕「それについては、申し訳ありませんでした」
理事長「まぁ、謝るのは当然だけど。
会長が暴力、なんて示しがつかないからね」
嫌な予感がして、手に汗がにじむ。
理事長「でも君は仕事をちゃんとしているようだからリコールは考えものだ」
言うな。
リコールでもいいから、それ以上言わないでくれ。
理事長「ー親御さんを呼んだんだよ」
僕「と、うさんを…」
理事長「あぁ。しばらく会えていなかったから、丁度いいし、話もするといい」
やられた。
僕がこの学校にきて、一番気を付けていたことを。
理事長「もうそろそろ、着く頃だね」
逃げたい。逃げたい逃げたい逃げたい。
こんな状況で、父さんと会ってしまったらー
「失礼する」
ビクっ、と扉が開いてその声を聞いただけで体が小さく跳ねる。
理事長「お待ちしていました、鈴原さん。
お話はいっていると思いますが…
部屋を変えましょうか」
嫌だ。今この人と2人きりにしないで。
父「頼みます」
では、と理事長室の横にあるお客さん用の部屋の扉を開けて招く。
父「何をしている遥。時間がないんだ」
行かなきゃ、と頭ではわかっているものの体がそれを拒んでしまう」
父「遥」
僕「ぁっ、」
いつまでも動かない僕に苛立ったのか、強く名前を呼ばれて腕を引かれた。
部屋に入ると言葉通り2人きりで。
父「この馬鹿息子が」
僕「っ!」
頬を、叩かれた。
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