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貴方に会いたい 琲世side
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会いたい。
たまに、わけもなくそう思う時がある。
誰に?
分からない。
どうして?
分からない。
分からないんだ。
ただ、会いたい。
ふとした瞬間、どうしても会いたくなる。
喰種を倒したあと。
誰かに罵られたあと。
有馬さんと会ったあと。
顔も、名前も、何も分からないその人に。
ただひたすら、会いたくなる。
それはきっと、思い出せない20年間の中で出会った人なんだろう。
どんな人なのだろうか。
優しい?怖い?
……優しい気がする。
男?女?
…多分、男かな。
背は?高い?低い?
少なくとも僕よりは高そうだ。
服装は?
流石にそれは思い出せないなぁ…でも、かっこよかった気がする……
僕はその人のことが好きだったんだろうか。
それは多分……。
記憶がなくて、この想いだけ取り残されたような、そんな感じだ。
全て消え去るはずなのに、強すぎて残ってしまったような。
それほどに、僕はその人のことを想っていたのだろうか。
……ああ、会いたい。
会いたいよ。
名前も、姿も、何も分からない貴方に。
会いたい。
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