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高ニに、なりました。
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時は春。
ちょっぴり詳しくすると出会いの春であり、俺の通う工業高校の始業式の日である。
少しだけ久しぶりにご対面する校舎を見上げ、俺こと近藤 徹はスッと息を吸う。
今年こそ可愛い彼女をつくり、工業高校ライフを楽しむのだ!と、いう念を込めて。
……しかし、そう上手くいかないのが現実なわけだ。
可愛い女と出会う機会など一般ピーポーの俺には滅多に無いし、奇跡的にそう──そういう奴と出会えたとしても、大体カレ持ちだ。
仮に独り身の女と会えたとしても、どうせビッチかワケ有りの女。
そう、俺のように気のいい男が年齢=彼女いない歴なのも全く不自然ではない。
だけど……
「少しくらい夢見させてくれてもいいじゃねぇか……っ!」
思わずそう口に出してしまい、ハッとした。
なんだよなんだよ唐突に。
今の俺は『なんか知らんけど校門前で変なことを呟く男』じゃねぇかよ。
急に身体中から溢れだした冷や汗でカッターシャツが背中に張り付く。
周りの輩に変な目で見られ(まぁ、当然なんだけどね)、精一杯顔が青ざめるのを堪える。
すると、周りの奴らはサァーっと俺から離れていく。
──ジリジリと接近してくる、約二名程を除いて。
「お~いっ、どうしちゃったのさぁ。
急になんか呟き始めちゃってぇ。
……あ、純平と合えなくて頭イカれちゃったとか!? それならアタシとっても嬉しい!!」
「……とお……徹……っ……モテたいならさぁ……っ……思ったことすぐ口に出す癖……直した方がいいと思うよ……っ!
あ~……可笑しいねっ!!」
その約二名程は、俺の近くにやって来るとニコニコしながら好き勝手なことを言い始めた。
かなり癪に触るのだが、まぁ、俺も大人な男だ。
スルーしてクラス表の貼ってある昇降口に向かおうとすると、必死に笑いを堪えていた星野 純平が俺の腕を掴む。
「徹、俺達またおんなじクラスだったよ~。
やったね!」
「また徹と純平の絡みが見れるなんて、アタシ幸せよっ!」
俺にとってかなり衝撃的な事実を笑顔で伝えた純平と同調するように、さっきから騒がしい三浦 美咲が目をキラキラさせる。
……俺の隣を歩くこの二人は、俺が高校に入学した時から俺に付きまとっている。
こいつらのせいで、俺がどれだけ苦労をしたことか──。
まず、星野純平だが、こいつはとんでもないSだ。
俺に付きまとう理由も『イジメたら面白そうだから』だ、そうだ。
その癖その性癖をあまり大っぴらにしないものだからとても人気がある。
……まぁ、色んな意味で。
それと三浦 美咲は『フジョシ』という奴らしく、俺と純平を見ているのが好きらしい。
変わった奴だ。
まさかこの二人とまた同じクラスとは……どうやら神様は俺の寿命を縮ませるつもりらしい。
俺は一つ大きなため息をつき、二人に言った。
「……ホラ、教室行くぞ」
二人は、「はーい!」と元気良く返事をした。
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