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そして次の日である。
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澄みきった青空の下、俺らは体育の前の準備運動をしていた。
今日は学校二日目で、授業もバッチリある。
そして、我がクラスはしょっぱなから体育の授業があるのである。
──はぁ、ダルい。
マジなんなの、しょっぱなから体育って。
あー、準備運動とかダルい。
体育など微塵もやる気のない(だからと言って勉強にやる気があるわけでもない)俺は絶賛手抜き中である。
いいんだよ、準備運動なんて。
若いんだからさ。
「今日は……最初の授業なのでサッカーをします!
じゃ、皆コート準備してー!」
先コウが高らかに宣言すると、皆真面目にコートを準備し始める。
ホントご苦労様だわ。
俺はぬぼーっと立っているだけである。
うーん、とアクビをすると、不意に校庭の隅の方にいる桜井と目が合った。
桜井は体が弱いとかなんとかで体育は見学だそうだ。
で、一人でひっそりとしている。
影薄いなあいつ。
「徹は桜井君みたいな男の子がお好みなのかなー?」
完全に油断しているところに、相変わらず聞いていてイライラするような声がした。
……例によって純平がいつの間にか後ろに立っている。
「……もう話しかけんなっつっただろ」
「アハハ、そんなこと言わないでさぁー。
で、桜井君みたいな男の子がお好みなの?」
……無視しよ。
ったく、んなわけないだろ……男同士とか有り得ないし。
「……あ、今男同士とか有り得ないって思った? 思ったね?」
俺が無視したとしても、純平はとってもしつこい。
猫の様に細い目をキラキラさせながらつきまとってくる。
……しかも、なんか心読まれてるし。
俺は純平を睨み付ける。
今は、変に意識してしまっている初な自分が嫌でこいつと顔を合わせたくなかった。
「黙れ、あっち行け。 マジで」
「ねぇ、徹──俺にそんな口きいていいの?」
しかしそれも逆効果だったようで、両手首を強い力で掴まれる。
なんだか怖い顔をした純平に、背中の毛がゾワッと逆立った。
こいつにからかわれた時は何度もあった──けど、こいつがこんな怖い顔をしているのを見たのは初めてだったから。
「え……? なんなのお前……は、離せよ……っ!
み……みんなの所行かないと……っ!」
「……アハハ、そうだね。 早く行かないとねぇ~」
純平はさっきとはうって変わって、お気楽そうに笑っていた。
*
「──おい、徹!! パス!!」
サッカーの試合中、俺が必死にボールを蹴りながら走ると仲間からパスを要求される。
了解の印に軽く手を上げ──パスをしようとした、その時。
「うぉ……っ!?」
足首に走る鈍い衝撃。
──あ、ヤバイ。 足つったわ。
そう思った時には俺は地面に叩きつけられており、そんでもってボールは弧を描いて飛んでいき──わりと近くで見学していた桜井の顔面へヒット。
「桜井ぃぃぃぃぃ!!??」
うわぁぁぁ、ヤバイ。
ズキズキする足を庇って駆け寄ると、桜井は
「ぃ……痛いれす……」
と泣きそうな声で顔を押さえていた。
メガネは……奇跡的に割れてない。
少し間をおいて、保険係の女子が駆け寄ってきた。
「わわっ、桜井君平気!?
ちょっと……えーと、近藤君!! なにやってんのよ!! 保健室連れてってあげてよね!!
足も挫いてるみたいだしぃ!?」
「スゲェ剣幕だな、オイ!!
んなこと言われなくてもこいつは俺が面倒見るわ!!」
目を吊り上げまくしたてる女子に言い返すと、なぜか桜井が
「ごめんなさいぃぃぃぃぃ……!!」
と、プルプル震えた。
「はぁ……じゃ、行くぞ」
俺はそんな桜井の手を取って保健室へ向かう。
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