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教室の喧騒を抜けて
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午前の授業が終わり、昼休み。
皆わらわらと友達と弁当を食べている。
──どうしよう、俺ボッチだわ。
去年はあのフジョシと腹黒な奴と弁当食ってたんだけど……
美咲はどっか行ったし(友達と購買にでもいったか?)、純平は……他の奴と楽しそうにしている。
まぁ、誘われても断ってたけど。
ボッチ飯とは……メンタル的にキツいぞ。
……仕方ない、屋上でも行くか。
俺は一つため息をつき、手に持った弁当と共に屋上へ向かう。
うちの学校は清掃員のおっちゃんが仕事に対してルーズ(仕事に対して誇りを持っていないともいう)だからな。
年中屋上の鍵は開け放たれている。
よし、善は急げだ。
速足で屋上へ向かい、完全に錆びているドアノブを捻る。
先客はいない──はずだった。
四月にしては随分強く日がサンサンと照りつけている屋上。
そこには今時珍しいブラッ○ジャックのスッテカーがついたスマートフォンをいじる少女がいた。
とても、とても見慣れた──。
「うぉっ、美咲!? 友達と居たんじゃないのか……!?」
思わず動揺すると、スマートフォンを暗転させて美咲はクスッと笑った。
「うわぁ、徹チャン動揺してるー。
情報収集だよぉー。 流石に友達とオベント食べてる時スマホいじってたらダメじゃん?」
……なんだと。
そういえば、こいつはクラスでも名だたる情報屋だった。
こいつは信憑性のない情報まで売ってくるから、情報を買うのは避けているが──。
(信憑性では『野々村情報屋』の方が数ランク上なのである)
「……で、徹チャンはボッチ飯?
あ、桜井君の情報でも貰いにきたの!? 今なら徹チャンが手に持ってるコーヒー牛乳一本で手を打つよ!」
思い出したように美咲の口からでた、” 桜井 “ というワードに手に持った弁当を放り投げそうになる。
が、動揺しているのを悟られないように美咲の隣に座り弁当を広げる。
……平常心を保て、俺!!
「はっ、はぁっ!? どっからあのダサメガネが出てきたわけ!?
あいつの情報なんて要らん!!」
俺が反論すると、美咲がブフゥッと吹き出す。
空を舞うお茶。
「おま……っ、何をする! きたねぇな!!」
「ごっめーん! あんまり徹チャンが分かりやすいんで、ついつい。
でも、アタシらの間ではかなり話題になってんのよ? 桜井君と徹チャン仲良いよねーって。
保健室でも仲良さげだったらしいじゃん?」
クスクスと笑いながら肩を竦める美咲。
流石美形。
なにやっても画になるわ。
……って、保健室では一言二言会話しただけなんだけど。
誰だよ情報ソースは。
「桜井君ってかなりコミュ障……じゃなくてシャイじゃない?
あの子がそんなに喋るのって、珍しいらしいわよ……うん、やっぱ徹チャンには無料で情報あげる」
美咲は俺が何も反応を示さないのを見て、どうやら了解の意だと感じたらしい。
勝手に桜井の個人情報をペラペラ話し始めた。
で、その話があんまり長いんで(体にあるホクロの数なんて知らんわ)要点を纏めると──。
・桜井は8月生まれのA型
・そしてあのメガネを決して外そうとはしない
・話しかけてもほぼ反応ナシ
・でも一部のお姉さま方には『母性本能をくすぐられる』と人気……etc
「──で、これはあんまし信憑性無いんだけど~……ムグゥッ」
十分以上ペラペラ喋っている美咲の口に、適当に唐揚げを箸でつまみ、突っ込む。
「信憑性の無い情報なんて要らんわ!! というか、どうでもいいような情報吹き込んでんじゃねぇ!!」
「美味しい唐揚げどうもありがとうございました!!
で、その情報なんだけどねー。 メガネを外すと超美青年らしいよー?」
俺の渾身のツッコミも虚しく、美咲はヘラヘラと笑っている。
……メガネを外すと超美青年、ね。
昨日あいつがメガネからのぞかせた綺麗な栗色の瞳。
まぁ、あながちそうかもしれんな。
「あー、メガネ外してくれないかなぁー!」
美咲はうっとりと目をとじた。
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