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【過去編】腹黒青年は恋焦がれる ①
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政治家の長男坊として生まれた俺。
暮らしになに一つ不自由はなかったのだが、凄く──影が薄かった。
俺の名前を言っても誰も知らない。
けれども、親父の息子だと名乗ると『あの政治家の息子』と誰もが分かってくれた。
だけど──やはり俺の名前を覚えてくれる奴は居ないのだ。
俺は、所詮親父の飾り物のようだ。
──さて、そんな俺も高校生になりました。
真新しい制服、ローファー、カーディガン。
そんな物達と同じように皆もピンと緊張し、張り詰めている。
しかし、俺が靴箱に入ろうものなら一部の生徒がザワッとする。
ふむ、俺の存在もここまで通っているのか。
はぁ、と息を吐く。
「……ちょっと? そこでもたもたされるとスゲェ邪魔なんだけど」
俺がハッとして振り向くと、そこには仏頂面のそいつが立っていた。
「──すみません」
とりあえず、俺は頭を下げた。
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