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【過去編】腹黒青年は恋焦がれる ②
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そいつは俺の事は知らない様で、ムスッとしたまま行ってしまった。
──ああいう風に俺に露骨な反応を示せるのも今のうちだろうなー。
フッとこれまでの友人関係が頭をよぎる。
……これまで友人などたったの一人も出来たことなどないが。
まぁ、俺が人と関わるの避けてるだけだし。
友達なんて居なくてもいいしな。
…………うん。
アクビをしながら教室に入って、席を確認する。
で、俺の席は──。
「──あれ? おめぇ下駄箱の!」
……なんと。
靴箱で俺に露骨な反応を示した野郎の隣である。
そいつは俺を見て、勝手に自己紹介を始めた。
「俺は、近藤 徹。 これからヨロシクな!!」
「……へぇ」
「お前の名前は?」
「名簿見たら分かるでしょ」
「……うわ、素っ気ねぇな……」
その、近藤と名乗ったそいつは俺の素っ気ない反応に眉をひそめた。
……なんだこいつ。
顔になんでも出るタイプか。
──それからHRが始まるまで、近藤が話し掛けてくることはなかった。
少しでも、何かを期待してしまった自分が腹立たしい。
*
……一時間目の授業中。
俺は非常に困惑していた。
と、いうのも──。
教科書、ノートが出揃った机の上には、あるものが不足していた。
そう……筆箱が。
俺は授業開始の日から、筆箱を忘れてしまったのである。
くっそぉ……こんなことになるなら、近藤にでも媚売っとけば良かったか。
あまりにも頼る人が居なさ過ぎる自分にほとほと呆れてしまう。
どうしたらいいのか分からずに授業中ボーッとしていると、隣から手が伸びてきて肩を叩かれる。
そして、俺が振り向く前に机の上に転がってくるシャーペンと消しゴム。
「……あ……」
近藤の方を伺うと、奴は俺の方を一瞬見た。
が、すぐに目を逸らされる。
──畜生。
こんな奴に──借りを作ってしまった。
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