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【過去編】腹黒青年は恋焦がれる ③
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カリカリ……カリカリとシャーペンを走らせる音のみが教室に響いている。
全く……授業初日から小テスト(抜き打ち)があるとは──奇妙な学校だ。
まぁこれで、実力者を絞り出すのだろう……な。
深くは考えないようにするが、この学校は色々と奇特だ。
学園祭も五月位にあるらしいし。
問題を解き終わり、ふぅと息をつくとキンコンカンコンと機械的なチャイムが鳴った。
午前中の授業が、終わったのである。
俺は、近藤から借りたシャーペンを机の中にしまう。
──あ、そういやお礼言ってない。
(二十分休みに言おうと思ったが、近藤は教室に居なかったのである)
人と付き合いたくないとしても、流石にお礼を言わないのは人間としてマズイからな。
俺は、隣に座っている近藤に話し掛けた。
ん、と顔をこちらに向ける近藤。
「ねぇ、近藤君。
シャーペンと消しゴム、ありがとね」
「い、いや……お礼なんて言われることはしてねぇよ」
俺が少し笑顔を作ると、奴は少し頬を紅くしてモゴモゴと喋った。
──あー、分かりやすい奴。
随分不器用なんだろうな。
「あ、お前一人?」
「お昼のこと?」
「あぁ」
近藤はそう、唐突に切り返してきた。
どうやら昼を一緒に食べないかと誘っているようだ。
でも、それは俺の意に反することだった。
「……申し訳ないんだけど──」
「じゃあ、一緒に食べよう!」
「うわぁっ! 美咲!?」
近藤の背後から、活発そうな女子がパッと飛び出してきた。
近藤は顔をますます紅くする。
ふぅん──。
そういうこと──。
「近藤君は分かりやすいねー」
俺はその女子が美形だったこともあって、ちょっと皮肉を込めて呟いた。
「そうよねそうよね! やっぱ徹チャン分かりやすいのよ!!」
それに、いつの間にか俺の前で弁当を広げている女子がグワッと食い付いた。
……凄いなこの子。
その女子は呆気に取られる近藤と俺は目に入っていないようで、あ、そうだと思い出したように手を打つ。
「……あ、アタシは三浦 美咲。 美咲って呼んじゃってね。
あ、あっちの堅物のことも徹って呼び捨てでいいから。
ヨロシク、純平!!」
「え? うん──。 って、俺のことサラッと呼び捨てにすんのな」
「嫌だった?」
俺は首を横に振る。
流石にそこまで嫌な奴じゃない。
「えーっと、宜しく。
──徹、美咲」
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