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【過去編】腹黒青年は恋焦がれる ⑥
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その日の放課後、教室から出ようとすると美咲に引き止められた。
俺が戸惑っていると、美咲はペラペラと喋り始めた。
彼女がこうなると止まらないのは学習している。
俺は、黙って応じる事にした。
「ねぇ、好きなの?」
「……」
「というか、好きなんでしょ」
「えっ、誰のこと?」
が、妙な話の展開に口を挟んでしまった。
すると美咲はえぇ~、と呆れたような顔をした。
「徹チャンのことよぉ~!」
「はぁ? 俺も徹も男だよ?」
この子はそんなことも分からないのだろうか。
男同士で恋愛など、ありえない。
まぁ、徹のことはたまに可愛いとは思うけれど──。
──え、可愛い……?
俺、そんなこと思ってたの?
徹のこと可愛いって?
「顔赤いよ~純チャン。
ふふふ、純チャンのことは何でもお見通しなんだからね、アタシらは」
美咲は、動揺している俺を見てニヤニヤしていた。
「……なんでそう思うのさ?」
「だって、純チャン滅多に笑わないイヤーな感じのボンボンだって聞いてたからさー。
それに、徹チャンと居るときすごーく嬉しそうだしね。 まぁ、こういうのは女の勘ってやつなんだけどさぁー」
「……でも、でも……徹は男だし……」
俺は、一歩後ずさる。
後ろにあった机に足がぶつかった。
ジンジンと広がる痛み。
「いやだぁー、狼狽えちゃってぇー」
美咲は少し声のトーンを落とした。
「もし付き合うんだったら、絶対泣かせんじゃないわよ?」
そして、俺の胸ぐらをグッと掴んで俺を引き寄せる。
彼女の方が背が低いため、首が強烈に絞まって喉から妙な音が出る。
(例えるならば、解剖される前の蛙……みたいな)
美咲は、俺のことをツンとした顔で睨みつけている。
「……分かったよ」
俺が頷くと、パッと手が離れて解放された。
「──じゃあ、またね!!」
教室から出ていってしまう彼女を見て忙しい人だなぁ、と思った。
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