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メイドに、なりました。
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『徹side』
「やだぁーー、かっわいいじゃないの!!
えっ、意外と似合うーー!!」
「徹、可愛い!」
「女になればいいじゃねぇかー!!」
放課後の教室で、俺の周りにはクラスの連中が集まりワイワイやっていた。
が、それとは対照的に隣にいる遥は俺の顔を心配そうに眺めている。
「……僕のせいで……ごめんなさい……」
俺は、それを見て遥の頭に手を乗せた。
すぐに緩む遥の表情。
──何故こんなことになったのか、事の発端は三十分前に遡る。
*
放課後、皆帰る準備をしている。
俺も眠い目を擦りカバンを肩に掛け、帰る準備は万端であった。
そんな中、女子のグループからキャーッと黄色い悲鳴が上がった。
一気にクラス中の目は女子グループへと集中する。
俺ら男達がどうしたんだ、と訊く前に答えはド直球ストレートとなって俺らにぶつかってきた。
「メイド服、完成です!!!!」
そう言葉を発した女子に、男子(特に不幸なことにメイド役となった)達の顔が引きつる。
しかも、掲げられたメイド服はフリルの沢山付いた──健全な男子高校生が着るもんじゃない代物だったから、尚更だ。
……あー、一層学園祭が憂鬱になってきたわ。
「ちょっとちょっと、誰か試着してみてよね!! 全員分あるんだから!!」
そう喚いている女子の周りに、もはや男子は居なくなっていた。
皆人と目を合わさぬように努力している。
俺も、人の中に紛れて安全圏だ。
──が、一人だけ状況を理解できていないバカ野郎が居たのであった。
「んー……じゃ、遥チャンにお願いしよっか!!」
堂々と自分の席で本を読んでいた、遥である。
遥は話し掛けられた途端にビクッと体を震わせ、周りを見回す。
そして、やっと教室の端に男子が集結している状況に気付いたようで、驚きを顔に浮かべる。
あー、あいつのバカ!!
「……え、な……にをですか……?」
「だいじょーぶ、だいじょーぶ!! ちょっと着てもらうだけだから!!」
遥は、急な話に頭がフリーズしたようで、なにかごにょごにょと言っている。
で、恐る恐るというように質問した。
「……そ、それって眼鏡外さないと……ダメですか……?」
「ちょっと外さないとキツいわね」
「……え……じゃあ……僕はちょっと……」
遥は首を横に振って必死に断るが、そんなことで折れる女子達ではない。
有無を言わさぬ形相で遥に迫っている。
だが、助けに行く奴はいない。
(……仕方ないのだ、メイド服など死んでも着たくないのだから)
が、少々嫌がっているあいつを見るのは心が痛む。
……誰か行ってやれよ。
……やはり誰も微動だにしない。
あぁ、あいつのバカ──。
俺が皆の輪から外れると、少しだけ皆ザワッとした。
だが、それもつかの間のこと。
ニコニコ顔で送り出される。
「遥、嫌がってんだろ。
メイド服なら俺が着てやるから、そいつから手を離せ」
──で、今に至る。
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