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写真。
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顔を伏せてそう言った遥はブルブル肩を震わせていて、冗談を言っている雰囲気ではなかった。
でも『僕は醜いらしいんです』なんて言われたら、どうリアクションを取ったら正解なのか見当もつかない。
この間こいつのメガネから覗いていた目は、澄んでいてとても綺麗な目だったのに──。
「……ごめんなさい、こんなこと言われても困りますよね……
でも僕……顔隠さないと……ダメなんです」
遥は、また俺に怯えたような表情を見せていた。
もう、見たくなかったのに。
俺の前では、怯えてほしくなかったのに。
俺は、考えた。
皺の少ない脳みそ、フル稼働である。
で、ボソボソと言葉を絞り出す。
「お前は醜くなんてないと思う……ぞ、俺は。
……えーっと、不細工でも俺は気にしないしな」
「……ありがとう」
遥は顔を上げて、俺を見た。
なんとなく居づらくなって、俺は立ち上がった。
「ちょっとトイレ行ってくるわ」
「客人用のトイレは廊下出て……すぐの所にあります」
少し心配そうな遥の声を背中に受けて部屋を出る。
これまた小綺麗なトイレで用を足すと、飾ってある写真に目を奪われる。
活発そうな少年の写真。
年は12、3歳位だろうか。
あどけなくも整った顔、柔らかな髪の毛、白い肌。
──もしや、これは……
確信に近い疑問を持ってトイレから出ると、そこには菓子の乗ったおぼんを持った遥の母親が立っていた。
菓子の差し入れにでも来たのだろうか。
「……遥の、お友達よね」
遥の母親は、俺のことを疑うように見た。
……なんだよ、このオバサン。
「そうっすけど、何か用すか?」
「……いいえ、なんでもないの」
そっぽを向くその人に、俺は黙らざるを得なかった。
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