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「……はぁ……」
あれから、かれこれ三日。
文化祭まではまだ時間があるが、俺は焦っていた。
メガネを外したがらない理由を、あいつが一向に話したがる気配がないからだ。
毎日毎日駄弁って終わる。
──やはり遥は、俺に心を許していないのだろうか。
そう思うと、心の中がモヤモヤする。
俺は、自分の机に頭を打ち付けた。
あぁ、俺って意外と無力なのな。
あんなダサメガネ一人の力にもなれない。
遥は委員会活動とかで、教室にいない。
離れたくないのに。
もっともっと、あいつの力になりたいのに。
俺、あいつが居ないとイライラするのかな。
貧乏揺すりを始めた自分の足を見て、苦笑いする。
やっぱ、変だな俺。
「おーい、眉間に皺よってるわよー。 なんかあった?」
「いきなり話しかけんなよ……美咲」
能天気そうに笑っている美咲が、いつの間にか俺の机に頬杖をついていた。
全く、いつも楽しそうで羨ましい──そう言うと『アタシにも悩みくらいある!!』と、猛反撃されるので黙っておくが。
「遥チャンの情報が欲しい?」
美咲は、艶っぽく笑う。
その表情が色っぽくて、一瞬ビックリした。
こんな顔も出来るんだな、こいつ。
でも、情報か……
というか、なんで俺が遥のことでやきもきしてるのが分かったんだ?
美咲はいつもの勢いよりは静かに話しだした。
「遥チャンねぇ、前はこことはかなり遠い県に住んでたんだけど、中二の時にこっちに引っ越して来たんだって。
で、問題はなんで引っ越したかなんだけど──」
「言わなくていい!!!!」
気付けば、それを遮っていた。
「俺が……俺があいつが話すまで待つんだから……お前に話される筋合いなんてない!!」
「…………………鈍感」
美咲は、苦いものでも食べたような顔をして俺のことを見た。
しかし、俺が瞬きをする間に元の表情に戻っていた。
「……徹チャンは本当に鈍感よねぇー。ま、そこも徹チャンの良いところだけどね?
じゃあ、授業も始まることだしアタシはもう行くね~!」
──鈍感、ですか。
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