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復活。
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『なぁ……お前────俺のこと好き?』
『……俺……多分……遥のこと、好きだわ』
「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
俺は、頭をかきむしる。
と、隣に座る純平がブッフォッと吹き出した。
周りの人の目がとても痛い。
が、が、昨日俺が吐いた甘ったるしくクサイ台詞が頭から離れないのだ!!
そう、朝の静かな電車の中で叫ぶという奇行を行う程、俺は苦しんでいた。
「徹……っ……なんかあったの?」
笑い疲れたのかうっすら目に涙を浮かべる純平を睨みつける。
お前なんかに言えるかい!!
言ったところで散々ネタにされることは分かっている。
……意地でも黙っておこう。
俺が黙り込むと、純平は不満そうに唇を尖らせた。
「もー、俺に隠し事ですか~?」
「……隠し事なんてしてない!!」
「いやいやいや、顔に出てるよ? 『隠し事してま~すっ』って」
なんだこいつ。
顔見ただけで考えてることが分かるのか……?
「お……っ、お前こそっ! 親父さんとは仲直りしたのか!?」
必死で話題を変えようと奮闘すると、純平の顔が少し翳る。
しまった、と思った。
このことにはまだ触れない方が良かったんだ。
「……う~ん、仲直り……したよ? だから、そんな顔しないで。 俺に気い使わないで?」
が、あいつは次の瞬間にはしれーっとした表情に戻り、俺の頬をむぎゅうっとする。
こいつ──……
純平は、俺がムッとしたのに気付いたのか頬から手を離す。
そして、小さめの声で言った。
「そういえば、徹のお兄さんっていい人だよね」
「……あの冷血漢がか?」
「俺、ああいう人好きだよー」
俺らは、とりとめない会話をしながら電車を降りた。
駅のホームで人に呑まれそうになるが、純平が腕を掴んでくれているのでなんとか突破した。
今は、いつも通りな様子のこいつを見るのが嬉しかった。
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